救助の一部始終―北アルプスで遭難した大学生の奇跡の救出劇

連絡が途絶えてから5日―大学生「すみません」、隊員「がんばれ、安心するな病院まで」―北アルプスで遭難した東京都の男性2人の無事が確認されました。1人は自力で下山し、もう1人は県警ヘリで救助されました。彼らはビバークし、沢の水を飲んで過ごしていたといいます。

「がんばれ!」隊員が励まし救助

24日の朝6時半ごろ、救助隊員がヘリから降り立ちました。

県警:
お待たせ

男性:
すみません…

県警:
接触、けがなし

連絡が途絶えてから5日。県警の救助隊が行方不明の男性を北アルプス・野口五郎岳の谷で発見しました。男性は1人で歩くことができ、無事でした。ビバークしていた近くの沢で過ごしていたそうです。

県警:
がんばれよ、まだ安心するな。病院まで、病院まで

その後、県警ヘリで男性は病院に搬送されました。

「もう一泊」その後、連絡途絶える

行方不明だったのは、東京都の自営業の男性(26歳)と大学生の男性(23歳)でした。

2人は10月18日に大町市の登山口から三俣蓮華岳を目指し、1泊2日の予定で登山を始めました。

しかし、帰宅予定の19日に家族に「もう1泊する」とメールが送られた後、連絡が取れなくなりました。警察は22日から捜索を続けていましたが、23日夕方まで手がかりがありませんでした。

自営業の男性が自力下山

しかし、23日の午後7時ごろ―。

自営業の男性は疲労などで動けなくなった大学生の男性を残し、大町市の登山口まで自力で下山し、近くの山小屋で救助を求め、家族に連絡しました。

七倉山荘の吉田尚さんは、当時の状況について、「どうしました?と聞いたら『ようやく下りてきたところで、1人稜線に残っている』と、だいぶ精神的に疲れている感じで稜線に残っている人が心配だったんでしょうね」と話しています。

吉田さんはその旨、警察に連絡したそうです。

沢の水を飲んでしのぐ

自営業の男性の情報をもとに、24日の朝から県警ヘリによる救助活動が再開されました。

大学生の男性がいると思われる野口五郎岳の西側に向かいました。

そして―。

県警:
はい、お待たせ

男性:
すみません

県警:
接触、けがなし

連絡が途絶えてから5日ぶりに救助されました。

2人はテントを張ってビバークしていたそうです。携帯電話のバッテリーは切れていました。

3日分の食料はあったが、尽きた後は沢の水を飲んで過ごしていたとのことです。

大学生の男性は松本市内の病院に搬送されましたが、命に別条はなかったそうです。

記事元リンク: 日本ニュース24時間