岸田首相の「減税」で自民政調会議が紛糾、不満爆発。

岸田首相の政権は揺れている。本来、政権を浮揚させる切り札である「減税」の方針は、国民から「遅い」「ショボい」「選挙目当て」という極めて不評な意見が相次いでいる。自民党内でも不満が噴出し、10月31日の政調全体会議は紛糾した。さらに、岸田首相が力を入れた「人事」でも柿沢未途法務副大臣(衆院議員)の公職選挙法違反事件による辞任という不祥事が発生している。山田太郎文科政務官(参院議員)も女性問題を報じられて辞任に追い込まれ、不祥事と辞任が連鎖しているとの懸念もある。また、中東の緊張に対する姿勢にも疑問が投げかけられている。岸田政権は波乱の臨時国会をどう乗り切るのだろうか。

「減税」に対する不満の声

自民党は10月31日、非公開の政調全体会議で、岸田首相が指示した所得税と住民税の1人あたりについて4万円の減税方針を議論した。会議では延べ48人が発言し、岸田政権の姿勢に近い「財政規律派」だけでなく、減税を歓迎するはずの「積極財政派」からも批判や不満が相次いだ。「火だるま状態だった」とも言われている。

萩生田光一政調会長が「意見を受け止めつつ、政府をしっかり支えたい」と呼びかけ、紛糾は収まったが、報道各社で異様な雰囲気が伝えられた。

自民党ベテラン議員は「紛糾は、岸田政権の〝右往左往〟が原因だ。国民世論も、それを見透かしている」と険しい表情で述べた。

減税案が世論に響かなかった理由の一つとして、岸田首相が増税路線から急に減税姿勢に切り替えたことに対する違和感や不信感があるという意見もある。世論調査でも内閣支持率が過去最低に低下している。岸田政権を支持しない人々の割合も増えつつあり、自民党の岩盤支持層でさえ離れつつあるとされている。加えて、政務三役の不祥事が相次いでいることや、人事についても「場当たり的」との批判が強まっているという。

岸田首相の難題とは

岸田首相は「任命権者としての責任を重く受け止めている」「国民の信頼を回復できるよう内閣として与えられた課題に全力で取り組んでいく」と述べ、釈明に追われている。

中東情勢が緊迫している中、米欧のG6首脳はイスラム原理主義組織ハマスの大規模テロを非難し、国際人道法の順守を求める共同声明を発表したが、日本は参加しなかった。

岸田首相は「負の連鎖」を断ち切ることができるのだろうか。

政治評論家の有馬晴海氏は「国民は、増税路線だった岸田首相が急に減税姿勢を打ち出したことに違和感・不信感を持っている。世論調査で見ると、約3割とされる自民党の岩盤支持層さえも離れつつある。いよいよ、『飽き飽き』されている段階ではないか。さらに、不祥事で政務三役の辞職が相次ぎ、人事についても『場当たり的』との見方が強まっている。政権として厳しい状況に追い込まれている」と指摘している。

岸田政権の行方は、今後の臨時国会で明らかになるだろう。

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