スウェーデンの次期戦闘機問題、グリペンの後継機調達は2031年に決定

スウェーデンは、マドリードでの会議で興味深い発表を行いました。「1年前に英国やイタリアとの協力(テンペスト・プログラムのこと)から手を引いた。我々の次期戦闘機に関する調達方針が決まるのは2031年だ」と明かしました。その間、必要な技術開発は着実に進められているようです。

スウェーデンの次期戦闘機の調達はGCAPやFCASとは異なる時間軸で行われる可能性が高い

2019年7月、スウェーデンと英国は「両国の要求を満たす新しい概念の開発」と「戦闘機に関する共同研究」を行うことで合意しました。当時、「テンペスト・プログラムにスウェーデンが参加した」と報道され、大きな注目を浴びました。しかし、スウェーデンは開発を主導するチーム・テンペストには参加せず、サーブが独自にBAEと協力しました。さらに、英国、日本、イタリアの3ヶ国が立ち上げた次世代戦闘機開発のための新たな枠組み「グローバル・コンバット・エアー・プログラム(Global Combat Air Program=GCAP)」への参加にも否定的な立場をとっています。

次期戦闘機のイメージ
出典:防衛省

日本とスウェーデンが締結した防衛装備品・技術移転協定にはGCAPの協力に関する内容も含まれており、「最終的にスウェーデンがGCAPに参加する可能性がある」という噂もあります。しかし、パリ航空ショーに参加したラース・ヘルムリッヒ氏(スウェーデン国防装備庁で航空宇宙システムを統括する責任者)は「今すぐ新しい戦闘機を必要としていない。恐らく(次世代機を必要とするペースが)他の国と異なっているおり、我々が早々に新しい戦闘機の計画に着手したのは次世代機の決定を下すのにベストな状態であることを望んでいるためだ」と主張しています。

空軍司令官のジョナス・ウィクマン少将も、「我々は第6世代機に関して他国と異なる意図で協力しており、現時点での取り組みは『調達プログラム』ではなく『事実確認プログラム』だ」と述べています。米ディフェンス・メディアのBreaking Defenseは「スウェーデンは欧州主導の第6世代戦闘機プログラムに急いで参加するつもりはない」と報じていました。しかし、再びスウェーデンの次期戦闘機に関する動向が報じられています。

次期戦闘機のイメージ
出典:SCH Hamilcaro / Ministère des Armées

スウェーデン関係者は今回の会議で「1年前に英国やイタリアとの協力(テンペスト・プログラムのこと)から手を引いた。我々の次期戦闘機に関する調達方針が決まるのは2031年だ。現在の選択肢は『独自開発するか』『誰かと共同開発するか』『完成品を購入するか』の3つだが、今のところ何も決まっていない」と述べました。

さらに関係者は「(調達方針に情報を提供する目的で)次期戦闘機に求められるコンセプトを2023年から2025年までに、関連技術を2026年から2030年までに開発する予定だ。この中で運用分析、システムコンセプト、デモンストレーターなどに取り組み、デモンストレーターの開発計画は2026年開始を予定している」とも述べています。つまり、次期戦闘機の調達方針は不明ながら、「必要な技術開発」には取り組まれる予定なのです。

次期戦闘機のイメージ
出典:Saab Gripen E

ちなみに、スウェーデン空軍はサーブとグリペンEの調達(60機前後)で合意しているため、「2060年頃」まで後継機の必要性がありません。恐らく、GCAPやFCASとは異なる時間軸で次期戦闘機の調達が行われる可能性が高いと言えるでしょう。

※アイキャッチ画像の出典:Saab

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