「女性の理系進学に立ちはだかる見えない壁」を分析し、議論を活性化

東京大教授 横山広美氏

女性の社会進出を推進する試みが、官民で活発化しています。男女平等の社会を築くことに異論はないでしょう。しかし、現実社会では男女の間には溝があります。その一つが、理系分野への女性の進学の少なさです。日本の女子生徒は、数学などの成績が世界トップクラスですが、大学で理系に進む女子は極めて少ないのが現状です。

「女性枠」って必要?…こんな導入例がある

「リケジョ」という言葉で、理系女子の活躍などを紹介する試みが広がっていますが、東京大学の横山広美教授は、これでは不十分だと指摘します。横山教授は、素粒子物理学で博士号を取得し、科学と社会の関係について研究しています。彼女は、「女性は家庭を守る」という考え方が、無意識のうちに女子生徒の理系進学を妨げている可能性を指摘し、社会全体の意識改革の重要性を語っています。

「女の子なのに、算数が得意なのね」

現代の社会環境と女子中高生の進路選択

現代の日本社会では、多くの大学生は自分自身で進路を選んでいると思われがちです。しかし、実際の進路選択には、さまざまな社会的な環境が影響しています。私たちは、社会環境が女子中高生の進路選択に与える影響について研究してきました。

日本の理系女子学生の少なさは、世界的に突出しています。経済協力開発機構(OECD)による2021年の調査によれば、自然科学・数学・統計学の卒業・修了生に占める女性の割合は、加盟国38カ国の中で日本が最低です。日本の女性の割合は27%で、OECD平均の54%の半分以下です。日本に次いで少ないチリでも40%ですから、日本の少なさは際立っています。

多くの研究者は、理系女子学生の少なさは、男女間の能力の違いではなく、社会的な環境の影響によるものだと考えています。実際、15歳を対象にした国際学習到達度調査(PISA)で、日本の女子の数学や理科の成績は世界トップクラスです。2018年の数学の成績では、日本の男子はOECD38カ国で1位ですが、女子も韓国に次いで2位です。日本の女子は、35カ国の男子の成績を上回っています。つまり、日本の女性は理数系で劣っているわけではないのです。

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ソースリンク:https://news.yahoo.co.jp/articles/8c1cf74f25e8f6c536cd0ed5d09326ebc4071ec7