三陸鉄道が「あまちゃん」に伴走!「第3セクターなめんなよ」の裏側…震災・人口減経て次世代に向けた挑戦

橋上和司さん

「あまちゃん」の放送から10周年を記念したイベントでは、海女のはんてん姿を披露するのんさんの姿が話題となった。このドラマは、苦境に立たされた地域の鉄道を一筋の光として輝かせた。

田園地帯を疾走する三陸鉄道、「これが毎朝の風景なのか」

三陸鉄道田野畑駅の撮影

2013年4月から9月まで、岩手県沿岸部の久慈市を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」が放送されました。この物語では、海女のヒロインがアイドルを目指す様子が描かれ、全国的なブームとなりました。当時の沿岸部は東日本大震災の爪痕が色濃く残っており、「三陸鉄道」も一部区間での運行が続いていました。

「ちょっとでも映っていてくれないかな」と思っていた久慈駅長の橋上和司さん(59歳)は、放送開始の半年前から撮影に立ち会い、その映像の完成に度肝を抜かれました。ドローンで空撮された列車が軽快な音楽に乗って沿岸部の田園地帯を疾走している姿に胸が熱くなりました。「これが毎朝流れるのか」と思いながら、少しだけ後悔もしたといいます。(盛岡支局 広瀬航太郎)

都会の鉄道じゃないんだから、「第3セクターなめんなよ!」

井上剛さん

「あまちゃん」の裏で、奇妙な出会いがありました。東日本大震災から7か月後の2011年10月、岩手県久慈市などの沿岸部を走る「三陸鉄道」の久慈駅長であった橋上和司さん(59歳)は、駅に隣接する車両基地で突然声をかけられました。見知らぬ男性でした。

「失礼ですが、どなたですか?」と声をかけられた橋上さんは、男性が名乗ることなく「イノウエ」と言っただけだったといいます。翌日、翌々日もカメラを手にやってくる男性は、何者なのか橋上さんは疑問に思っていました。

後にその男性が元NHKディレクターで、「あまちゃん」の演出を統括した井上剛さん(55歳)であることを知った橋上さん。取材のためにお忍びで訪れていたのだと分かりました。井上さんは、「何あの人? 面白いなあ」と橋上さんの印象に残っていたそうです。

橋上さんが力説したのは、団体客や高齢者が列車に乗り遅れそうになった場合の対応についてでした。「待ちますよ。列車が2、3分遅れたってどうってことない。都会の鉄道じゃないんだから、『第3セクターなめんなよ!』って感じでね」と。

橋上和司さんと井上剛さん

これが、「あまちゃん」と三陸鉄道の出会いと、次世代に向けた三陸鉄道の挑戦の一端でした。

日本ニュース24時間に掲載された記事のもとを参照しました。

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