高羽悟さん（67）は、妻である奈美子さん（当時32歳）が1999年11月13日に名古屋市西区の自宅で殺害された後も、現在までそのアパートを借り続けています。
事件直後、悟さんは「部屋を片付けなくては」と思いました。息子を預けて、廊下に残った血を一人でこすり取りました。しかし、12月の冷え込みでためたお湯はすぐに水になり、指先がかじかみました。
そんな時、奈美子さんの母親から「家具をもう少し持っていてくれる？」と頼まれました。これにより、片付けをする必要はないと気が楽になりました。さらに、奈美子さんのものと思っていた玄関の血痕が犯人のものであることが判明し、「捕まるまでは部屋を保存し、実況見分をする」と心に決めました。
最近、この部屋で袋に入ったままの小さな手袋を見つけました。これは事件の1カ月前に家族でディズニーランドを訪れた際、奈美子さんが当時2歳の息子に買ったものです。「寒くなったら着せようと思って、あの時買っていたんだ」と悟さんは思い出しました。息子もすでに独り立ちし、東京で就職しています。
奈美子さんの命日である13日、悟さんは名古屋市西区内の商業施設で情報提供を呼びかけるチラシを配りました。血痕のDNA型鑑定などから、犯人はB型の女性であると思われます。情報提供は西署（052・531・0110）へお願いします。（奈良美里）
