パレスチナ自治区ガザで、イスラム組織ハマスが実効支配してきた地域において、イスラエル軍がシファ病院を包囲し、未明に急襲しました。
ハマスの「心臓部」を狙い、包囲を強めた上での急襲でした。軍は地下にハマスの司令部があると疑っていましたが、保護されるべき病院への突入は国際的な批判を集めかねません。
イスラエル軍は「作戦上の必要性に基づき実行した」との声明で、シファ病院襲撃の正当性を主張しました。ハマスが患者や避難民を人間の盾にして攻撃を続けており、病院の違法な悪用をやめるよう十分な時間を与えたが、聞き入れなかったと述べました。さらに、イスラエル軍は14日にもハマスに12時間の猶予を与えていたことを主張しました。
シファ病院は数千人が取り残されており、電気や燃料、人工呼吸用の酸素などが極度に不足しており、食料や水もほぼ枯渇しています。さらに、新生児の保育器に入れられないため死亡しているケースも報告されています。また、200人の遺体が放置され、危機的な状況が続いていました。
イスラエル軍は15日、保育器や離乳食をシファ病院に搬入したことを発表しました。突入に際しては医療チームやアラビア語通訳も同行し、「戦う相手はハマスであり、ガザの住民ではない」と訴えました。しかし、国際社会からの懸念は強まっており、ヨルダンの外務省や米国からも非難の声が上がっています。
イスラエルは病院の地下を含む全てを徹底捜索し、ハマスの実態解明や人質救出の手掛かりを探る方針です。今後、突入の戦果を動画などで公開する可能性もあります。現時点では人質の情報はありませんが、治安当局者は「何がどこにあるか分かっているから突入した」と語りました。