英大使館跡地から弥生時代の集落 発掘説明会なしでマンション建設へ

英国大使館跡地の発掘調査

千代田区一番町の英国大使館跡地から弥生時代の集落の痕跡が見つかりました。この土地は三菱地所レジデンスなどが再開発を進めている場所で、これまでに竪穴住居跡28棟が確認されました。しかし、この遺跡を保存することは難しいため、調査後にマンション建設が始まる予定です。地元での説明会は開かれません。都心で遺跡を活用することの難しさが再び浮き彫りになりました。

弥生時代の集落跡を出土

千代田区によると、この土地で見つかったのは弥生時代後期前半(1〜2世紀)の竪穴住居跡21棟です。さらに、縄文時代の遺物も3棟あり、そのうちの1棟には貝が残されていました。また、時期が不明の竪穴住居跡も4棟見つかりました。弥生土器や縄文土器、近世の上水木樋や井戸、地下室なども確認されました。

調査は2024年3月まで行われる予定です。まだ調査されていない約3700平方メートルの土地が残っており、新たな遺跡が見つかる可能性が高いとされています。

明治大学の石川日出志教授(考古学)は、「都心でこんな発見があるとは驚きました。関東南部では弥生時代後期前半のような住居数の多い集落が見つかった例はほとんどありません。当時の暮らし方を知る上でも学術的にも重要な発見です」と話しています。

千代田区もこの遺跡を重要な発見とみていますが、現時点では国が指定する史跡相当の発掘とは見なされず、遺跡を埋め戻す方針です。

一方、千代田区と三菱地所レジデンスは遺跡の一部を残すことや、発掘を公表したうえで現地説明会を開くことを協議しました。しかし、三菱地所レジデンスの同意を得ることはできず、断念しました。遺跡の扱いについては、開発業者や地権者の意向が最優先されます。同様のケースは他にも存在するようです。

遺跡の調査費用は基本的には開発業者が負担することになっており、今回も三菱地所レジデンスが負担しています。同社の広報担当者は、「法律や条例に従い、行政と協議しながら対応している」と述べています。

三菱地所レジデンスは2022年4月、英国大使館の南側の土地(9259平方メートル)を購入し、他の不動産会社とともに再開発を始めました。

この土地では、明治時代初めから掘り起こし工事が行われておらず、何らかの遺跡が残っている可能性が指摘されていました。そのため、千代田区は三菱地所レジデンスの承諾を得て、2023年2月に現地を試掘し、縄文時代や弥生時代の遺跡を発見しました。マンション建設は延期され、2023年6月から本格的な調査が始まりました。

ソースリンク: 日本ニュース24時間