周庭氏の亡命 「運動を続けずに逃げてしまった」という中国当局のシナリオ通りに

周庭氏の亡命

戦略科学者の中川コージが12月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演しました。そこで中川氏は、香港の民主活動家である周庭氏のカナダへの亡命について解説しました。

香港の民主活動家・周庭氏、事実上の亡命か

周庭(アグネス・チョウ)氏は12月3日に自身のSNSで、カナダに留学中であり「香港には生涯戻らないと決めた」と明らかにしました。周庭氏は違法なデモの組織などの罪で実刑判決を受け、出所してからわずか7ヵ月が経ったばかりです。

中国外務省の汪文斌副報道局長は、周庭氏について「香港は法治社会だ。いかなる人にも法外の特権というものはない」と述べました。さまざまな意見が寄せられています。たとえば、岐阜県恵那市の“アマリサ”さんは、「カナダに亡命したということで、香港当局はよく国外へ行くことを許可したなという印象です。このままいても苦しいばかりだし、亡命できてよかったとも思います。カナダでの安全にも気をつけて欲しいですね」とコメントしています。

国外に出てしまうことで外部環境となり、大勢に影響は与えない

中川氏は、周庭氏個人に対しては、安全に逃れることができたことに安堵しています。しかし、もう1つ重要な点があります。中国では情報が制限されているため、国外の民主化勢力からの情報が非常に重要となります。しかし、それが大勢にどれだけの影響を与えるかと言えば、あまり与えないのです。

外部の民主化勢力からの情報は重要ではありますが、それが中国共産党に対する内部への圧力にどれだけ影響を与えるかは限定的です。中国共産党にとっては、中国から外に出た者は外部環境になるのです。

事実上の亡命を中国当局の宣伝に使われる

さらに、中国共産党は香港を経済都市として発展させる一方で、上海や深圳などの他の都市も発展させるために香港の地盤沈下を図ってきました。そのためには香港を締め続ける必要があり、逃亡犯条例が導入されたことで周庭氏の亡命問題が生じました。また、大陸側の人民には香港が長年繁栄し続けていることに対する反発もありました。そのような状況下では、民主化の要求は大きな影響を与えることはありませんでした。周庭氏の亡命は、中国当局の宣伝に利用されてしまうのです。

中国共産党からすると、中国から逃れた者は「勝手に逃げた」という扱いになります。また、汪文斌副報道局長が述べたように「香港は法治社会だから逃げることができたのだ」という意見もあります。これは中国共産党にとって有利な展開となり、香港のディールに隙を与えているとも言えるでしょう。香港では数年間にわたり様々な問題が起きましたが、結果として中国共産党の地位は揺るがず、今後も変わることはないでしょう。

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