中国の富裕層が、今年になって数千億ドル（数十兆円）規模の資産を海外に移転しているという報道がありました。このニュースは、米紙ニューヨーク・タイムズ（NYT）が11月下旬に報じたものです。中国人の富裕層は、日本の高級マンションを次々に購入したり、海外の貯蓄型保険商品を購入したりするなど、さまざまな形で資産を移しています。この現象の背景には、自国の不動産不況や習近平指導部の独裁体制の強化など、さまざまな要因があるようです。
中国人の富裕層が日本で高級マンションを購入する光景は、よく耳にするものですが、実際にはどのような状況なのでしょうか？
スーツケースに大量の札束
NYT紙は11月28日、中国から資産を海外に移転させる富裕層の活動について、派手な見出しで報じました。
記事には、東京の超高級マンション「ブランズタワー豊洲」や「パークタワー晴海」の美しい写真が掲載されています。これらの物件は、中国本土からの購入者を魅了しています。
記事では、東京で3億円を超える高級マンションを購入する中国人が増えており、支払いのためにスーツケースに札束を詰め込む光景が紹介されています。中国人向けの不動産業者である「神居秒算」の趙潔氏も、「この量の札束を数えるのは大変だ」と興奮気味に語っています。
かつては中国人が東京の33万ドル以下のワンルームを個人の居住用に使うことが多かったそうですが、最近は富裕層が家族のメンバー用により大きな部屋を購入する傾向があるとのことです。
機内の手荷物に金の延べ棒
中国人の富裕層は、規制をかいくぐって金の延べ棒や外貨を航空機の手荷物に忍ばせることもあります。また、香港で銀行口座を開設し、海外の貯蓄型保険商品を購入するために送金も行われています。
記事によると、香港の銀行前では、中国から来た人々が長い行列を作っています。人気商品は3万ドルから5万ドルの間で、富裕層や中国の民間企業が今年、海外に送金している金額は推定で500億ドル（約7兆3,500億円）に上るとされています。
習近平政権体制に懸念
中国はコロナ禍の約3年間、厳格な「ゼロコロナ」政策を実施し、都市封鎖などの極端な政策が経済に大きな打撃を与えました。不動産市場も低迷しており、富裕層の関心は一斉に海外に向かっています。
また、習近平政権の独裁体制が一段と強化されており、中国の富裕層の間では国内での資産への締め付けが懸念されているようです。
このような背景から、中国の富裕層が資産を海外に移転させる現象が加速しているのです。
この記事のソースリンク：日本ニュース24時間
