イスラエル軍がハマス幹部の自宅包囲、人道支援「事実上ゼロ」と国連機関が懸念 停戦宣言を要請

イスラエル国防軍(IDF)が、パレスチナ自治区ガザ地区南部への攻勢を強めています。彼らは、10月のイスラエル奇襲を首謀したとされるハマスの指導者の自宅を包囲しました。しかし、その一方で、人道支援機関はガザ地区への支援が事実上ゼロになり、飢餓や病気のまん延が懸念されています。このような状況下で、国連事務総長は安全保障理事会に対して人道的停戦の宣言を要請しています。

イスラエル軍の包囲とネタニヤフ首相の声明

イスラエル国防軍は、ガザ地区のハマス・トップであるヤヒヤ・シンワル氏の自宅を包囲しました。ネタニヤフ首相は、収録されたビデオ声明の中で、IDFがシンワル氏の自宅を包囲していることを発表しました。彼は、「彼の自宅は要塞ではないかもしれないし、本人は逃れられるだろうが、我々が彼を捕まえるのは時間の問題だ」と述べました。イスラエルはシンワル氏をイスラエル奇襲の首謀者と見なしているとのことです。

ガザ最大の難民キャンプの包囲とアブ・カマル氏の証言

イスラエル軍は同地区北部のジャバリア難民キャンプも包囲しており、キャンプへの空爆も強まっていると報じられています。アル・ファルジャ地区に住むハリル・アブ・カマル氏は目撃者の話として、「爆発が2日間止んでいない。数十人が死亡し、がれきと化した集合住宅の下敷きになっている人もいる」と証言しました。彼はまた、「私のきょうだいが自宅を爆撃され、その際に死亡した。自宅近くの庭に埋葬するしかなかった」と述べました。アブ・カマル氏は、「生きている人にも、死者にも、もはや尊厳など存在しない」とも付け加えました。

国連機関の懸念と人道的停戦宣言の要請

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はガザ地区への人道支援が事実上ゼロになったと主張しており、同地区にいる約220万人の間で飢餓や病気が広まることへの懸念が高まっています。また、イスラエルの戦術に再調整がみられないことも指摘されています。UNRWAはさらに、イスラエルによる民間インフラへの攻撃は国際人道法の順守に反すると訴えています。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ガザ地区での人道的停戦を宣言するよう安全保障理事会に対して要請しました。彼は、ガザ地区の人道システムが崩壊し、医療システムが破壊されたことで民間人が危険にさらされていると指摘しました。また、国際社会にはエスカレーションを防ぎ、危機を終わらせるために全力を尽くす責任があると呼びかけました。

岸田首相とネタニヤフ首相の会談

日本の岸田文雄首相はネタニヤフ首相と電話で約20分間会談しました。岸田首相は、民間人の被害の最少化と国際法の遵守の重要性を伝えました。ネタニヤフ首相からは、イスラエルの立場について説明があったと報じられています。

原記事:イスラエル軍がハマス幹部の自宅包囲、人道支援「事実上ゼロ」と国連機関が懸念 停戦宣言を要請