名古屋―奈良の直通列車復活へ 三重県、JRが実証運行に向け調整

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名古屋―奈良の直通列車が検討されているJR関西線。三重県と伊賀、亀山両市、JR西日本は、JR関西線経由で奈良と名古屋を結ぶ直通列車を来年度、18年ぶりに復活させる調整に入った。利用促進に向けた実証運行で、県も費用を負担。最低でも「2日ぐらい」(一見勝之知事)の期間を想定している。亀山―名古屋間を管轄するJR東海とも協議を進める。

関西本線活性化利用促進三重県会議での進展

4者でつくる「関西本線活性化利用促進三重県会議」が11月29日に県庁で開かれ、県側が報告した。県などによると、今回の直通列車は、関西線のうち伊賀上野を通る亀山―加茂(京都府)区間(61キロ)が非電化のためディーゼル車を使い、木津(京都府)から奈良と結ぶ想定。来秋~冬に運行して観光などの沿線イベントと組み合わせて利用客を確保する考えで、県側は「実現が固まれば奈良、京都側とも相談したい」としている。

関西線の歴史と直通列車の復活

鉄道として大阪・難波と名古屋を最短で結ぶ関西線は営業距離約175キロ。1899年に全通。国鉄時代に東海道新幹線の整備などで大阪―名古屋間の直通列車が途絶え、名古屋と京都を結ぶ急行「平安」が1985年、奈良を結ぶ急行「かすが」が2006年に廃止された。

期待が高まる亀山―加茂区間の利活用策

亀山―加茂区間はJR西日本が22年春、20年度の輸送密度(1キロあたりの1日平均利用者数)が87年度(4294人)の17%まで落ち込み、営業損益は15億7千万円の赤字区間と公表。県や両市などと今後の利活用策を検討している。この区間は現在、各駅停車の列車しか走っておらず、大阪、奈良方面や名古屋方面に向かうには亀山と加茂での乗り継ぎが必要だ。

期待の声が高まる

一見知事は5日の会見で「関西本線について、認知度の向上とインバウンドを含めた地域外の方々の需要喚起につなげたい」と語り、利用者の増加への期待感を示した。

伊賀市の岡本栄市長は4日の会見で、「私もかつて名古屋まで直通の急行に何度も乗った。名古屋駅では新幹線に近い13番ホームで降り、東京などに向かうにも便利が良かった。直通の復活は実証とは言え、やっとテーブルに載った感があり、実現させたい」と語った。(亀岡龍太)

この記事は朝日新聞社の掲載です。

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