36歳のある朝「突然目が見えなくなった」僕が、見えない世界をポップに発信する理由

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「見える」「見えない」の境界を、軽やかに超えていく

ブラインド・コミュニケーターとは、どんな仕事ですか?

よく聞かれるのですが、自分でもまだよく分かっていないところがあって(笑)。

オフィシャルにこういった職業があるわけではなく、自分の活動に名前をつけようと思い、2021年頃から「ブラインド・コミュニケーター」を名乗りはじめました。

活動のベースにあるのは、人と会って話をする、仲介役となりながら一緒に何かをすることです。とりあえず器をつくってみたら、「一緒にやろうよ!」と多方面から声をかけていただくようになり今に至っています。

最近は、どんな活動をしているのでしょうか。

目が見えていた頃から続けているセラピスト活動のほか、視覚を使わずに子どもも大人も楽しめるワークショップを企画したり、見える人と見えない人が一緒にアートを楽しむ雑談型鑑賞会を開催したり、学校や企業にお招きいただき講演をしたり……。

あとは、登場人物の動きや風景などの映像情報を言葉で説明する、映画の音声ガイドのクオリティチェックの仕事や、ポッドキャスト番組のパーソナリティにも挑戦しています。

マルチに活動されていますが、仕事をする上で大切にしていることは?

“本当にやりたいかどうか、そして楽しいかどうか”です。

DREAMS COME TRUEの『うれしい!たのしい!大好き!』という曲がありますが、まさにそれです。自分だけでなく相手の方も、どうすればお互いにポジティブな気持ちで取り組んでいけるかを考えるようにしています。

もう一つ大事にしているのが、“ペイフォワード(Pay it forward)”の精神です。目が見えなくなってから以前にも増して、家族や友人、周囲の人に助けてもらうことが増えました。

その人たちに恩返しをするだけでなく、仕事を通じてより多くの人たちに“恩送り”ができたら。そんな思いで活動しています。


引用元: 36歳のある朝「突然目が見えなくなった」僕が、見えない世界をポップに発信する理由