羽生九段が5年ぶり本戦進出!第9期叡王戦段位別予選

今年の第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)の段位別予選が進行中です。12月18日(月)には、東京・将棋会館で九段戦Cブロックの3試合が行われました。その中で、羽生善治九段と島朗九段の一戦は、激しい横歩取りのバトルで、羽生九段が88手で勝利しました。羽生九段は続く豊島将之九段戦でも勝利し、5年ぶりの本戦進出を果たしました。

横歩取りの攻防戦

今年の段位別予選(九段)では、29人のプレーヤーが3つのブロックに分かれて本戦進出を目指します。この日の対局者は、この試合を含めて2勝をさらに必要としていました。試合が始まると、島九段が先手で横歩取りに誘導しました。早めに飛車を自陣の2段目に引くという工夫がありました。

島九段は局面を安定させ、序盤の利得を活かすという戦略を持っています。羽生九段は後手であり、局後に「見たことのない形だった」と語りましたが、そこから優れた対策を編み出しました。歩の動きをうまく利用して飛車を敵玉の近くに回り込ませるという戦術でした。

一方的な攻勢で快勝

自陣が持たなくなることを予測した島九段は、左金を活用して局面を立て直そうとしましたが、羽生九段は柔軟な手順を組み合わせてリードを広げました。タタキの歩で敵の飛車の働きを弱め、自陣の銀を活用するなど、上級者の好む手筋を使っていました。先手の手がないことを見越しての展開です。

一方的な攻撃権を手にした羽生九段は、右銀の圧力をかけて左側を制圧しました。飛車を取るために角を犠牲にするという読み切った一手が勝利の決め手となりました。終局時刻は12時18分(持ち時間1時間)で、最後は島九段が自陣を受けないことを認めて投了し、羽生九段が勝利を収めました。

勝利した羽生九段は、午後に行われた豊島九段との対局でも相掛かりで快勝し、5年ぶりの本戦進出を果たしました。

水留啓(将棋情報局)

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