なぜ飲食店員の女性(20)は殺害されなければならなかったのか。殺人容疑で全国に指名手配され、18日に逮捕された斎藤涼介容疑者(25)は、事件直前、埼玉県上尾市の実家に帰っていたという。
埼玉県警によると、事件前日の14日、上尾市に住む斎藤容疑者の母親が「(斎藤容疑者が)元交際相手の女性を傷つけて自殺するとほのめかしている」と、電話で上尾署に相談してきた。
母親が相手の女性の名前や住所を把握していない一方、「(斎藤容疑者は)神奈川県で暮らしている」と話したため、県警は神奈川県警に情報を提供。すると15日午前、再び母親から上尾署に電話があり、「息子を連れて帰ってきた。今は落ち着いている」と話したため、署員は母親に対し、斎藤容疑者に外出する様子があれば110番通報するよう伝えたという。
だが、斎藤容疑者はその後に新潟に向かい、15日夜に新潟市中央区の繁華街で事件を起こしたとみられる。埼玉県警人身安全対策課の担当者は、「女性の詳しい情報があれば違う対応ができたかもしれないが、その時点では考え得る最善の措置だった」との認識を示した。
新潟県警は今後、斎藤容疑者と殺害された女性の関係や事件に至る経緯などを詳しく調べる。
一方、殺害された女性の遺族は18日、代理人弁護士を通じて「逮捕されたと聞いて、娘に報告できると、ほっとした気持ちでいます。殺害された娘が返ってくることはなく、深い悲しみは少しも晴れることはありません。犯人に対しては他に何もいらないから娘を返してほしいと言いたいです」などとするコメントを出した。