「過労自死した若手医師の遺族、医師の労働環境の改善を訴える」- 日本ニュース24時間

「息子が命と引き換えに投げかけた」という母の胸の内を、過労自死した若手医師、高島晨伍さんの遺族が明かしています。晨伍さんは若さの割にはまだ26歳で、労働環境の過酷さに耐えかねて自ら命を絶ってしまいました。その悲劇を受けて、遺族は医師の労働環境の改善を求める記者会見を開催しました。

最期の手紙に「限界です」

晨伍さんは神戸市の甲南医療センターで働く医師でした。彼の兄も医師であり、父が患者の命を救う姿に感銘を受け、自身も医師となったと明かしています。しかし、晨伍さんは忙殺される中、患者への対応や学会発表の準備に追われ、徐々に心身ともに疲弊していったのです。

晨伍さんの母である順子さんは、自身の訴えを語るなかで、息子がどれほど過労に苦しんでいたかを明らかにしました。晨伍さんは最期の1カ月間、「趣味の野球観戦や音楽を楽しめず、顔色も悪くなっていた。『働きすぎはよくない』と言っても、息子は休みたくても休めない現実に直面していた。そして彼は私にこう言ったのです。『もう明日起きたら、全てがなくなっていたらいいのに』」。順子さんはこの時、息子を引き止めるべきだったと後悔しています。

晨伍さんは遺した手紙の中で、家族への感謝とともに、「知らぬ間に一段ずつ階段を昇っていたみたいです。おかあさん、おとうさんの事を忘れてこうならないようにしていたけれど限界です」と綴っていました。また、「病院スタッフの皆様」への手紙では、「さらに仕事を増やしご迷惑をおかけしてすみません」と謝罪の言葉が記されていました。

若手医師が日本の医療の犠牲に

記者会見には、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で副座長を務めた渋谷健司医師も出席し、医師の過酷な労働環境について語りました。「日本では、勤務医の超過勤務の時間が突出しており、過労死の危険性が高まっています。勤務医の中には『自殺や死を毎週/毎日具体的に考える』と回答した人も4%に上るという調査結果があります。救急医療や地域医療は、医師の時間外労働によって支えられており、勤務医が犠牲を払っていると言わざるを得ません」と指摘しました。

晨伍さんの兄もまた、医師としての立場から問題点を指摘しています。「医師は患者の命を救うために努力しなければならないし、自らの医療技術を向上させなければならない。つまり、いつでも高度な医療を提供できるという使命感があります。しかしその裏で、若い医師が犠牲となってしまう現実があります。私は現場の医師として、各病院が若手医師を守るための取り組みを行えるよう願っています」と述べました。

順子さんと遺族は、甲南医療センターを運営する法人を労働基準法違反で刑事告訴するだけでなく、国にも働きかけて医師の労働環境改善を求めています。


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