市毛良枝の12歳からのひとり東京生活「実家の暮らしは普通じゃなかった」

市毛良枝 撮影/三浦龍司

俳優の市毛良枝さんは、上品で柔和な微笑みが「やさしいお母さん」のイメージを後押しする存在です。しかし、実は彼女はキリマンジャロ登頂や南アルプス単独縦走など、本格的な登山愛好家でもあります。市毛良枝さんの豊かな人生経験が、彼女の変化をもたらしたのです。

教育方針の違いが人生を変えた

市毛良枝さんは、静岡県で生まれ育ちましたが、12歳の時、親元を離れて一人で東京で暮らすことになりました。彼女は「生まれたときから、親の教育方針で『中学から東京に行くんだよ』と言われて育ったんです」と語ります。

実家は年配の方々だけで、市毛良枝さんは一人っ子でした。彼女は実家で甘やかされる環境で育ち、自分が食べたいものを誰も取らないという特別な待遇を受けていました。しかし、それに対して寂しさを感じることもありました。実家では、ケーキが1つしかない場合、自分が貰ってしまうことが多かったため、一緒に食べることができないと感じていたのです。

このような状況から抜け出すため、市毛良枝さんは東京の親戚の家に移り住むことになりました。彼女が通うことになったのは女子校であり、「それが清々しかった」と、穏やかで居心地の良い学校生活を過ごすことができました。

社会にはいろんな人がいて、いろんなふうに感じるんだな

「わが家は大人ばかりで、男性は父だけ。同世代の男子に慣れていなかったからか、からかいやいじわるの対象にされてもうまくかわせなかったんです。だから女の子しかいない環境がとても清々しくて、すぐに馴染んでしまいましたね」

ご両親が12歳で自立させることを決めた理由について、市毛良枝さんは次のように説明します。「田舎ですから、たとえば駅からタクシーに乗って『市毛です』と言うと、家に連れて帰ってくるような環境なんです。しかも、お金は親が払う。お金持ちではありませんけど、そんなお姫様みたいな環境は、ダメでしょう。東京では、小さな私鉄の駅を降りて『市毛です』と言ったって、誰も知りません。それを中学生で知ることができたのは、よかったと思っています」

その後、高校では寮生活を経験し、社会性を身につけることができました。「寮は、中1から高3までの6学年で一部屋を構成していました。私は中間的な立ち位置でそこそこ上手く立ち回っていた気がするんですが、怖い上級生がいて(笑)。昨日まで小学生だったような中1の子が夜にホームシックで泣いちゃったりすると、高1の私が怖い上級生と下の子の間を取り持つ、みたいな感じで。そこで社会にはいろんな人がいて、いろんなふうに感じるんだな、ということを学びました」

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市毛良枝さんの人生は、彼女が12歳で東京に移り住んだことから大きく変わりました。実家の特別な待遇と対照的な環境での生活は、彼女に人間関係や社会の多様性についての理解を深める機会を与えました。

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