睡蓮みどり氏「日本人ファーストは気味が悪い」発言が波紋 外国人政策と参政党への懸念

女優で文筆家の睡蓮みどり氏が7月16日、自身のX(旧Twitter)で「私には『日本人』というものがよくわからないし、日本人ファーストなどという言葉や考えは気味が悪くて仕方ありません」と投稿し、大きな話題を呼んでいます。この発言は、来る参議院選挙の主要な争点の一つとなっている「外国人政策」に関する議論に一石を投じ、多文化共生社会における排外主義的な主張への懸念を改めて浮き彫りにしています。

睡蓮みどり氏の背景:性加害告発と多様なルーツを持つ視点

睡蓮みどり氏は神奈川県出身で、早稲田大学在学中にグラビアモデルとしてデビュー後、主に映画界で活躍してきました。2022年には、自身が受けた性加害を実名で告発し、芸能界における#MeToo運動の広がりの中で注目を集めました。彼女は、2015年にフリーで活動していた際に映画監督の榊英雄氏から性被害を受けたと公にし、榊氏は2024年7月に睡蓮氏を含む女性2人への性的暴行容疑で逮捕されています。こうした経験は、彼女が社会の不均衡や差別に対して深い洞察を持つきっかけとなり、今回の発言にもその視点が色濃く反映されています。

国際結婚と「カタカナ姓」がもたらす現実:外国人としての扱い

睡蓮氏の投稿は、彼女自身の国際結婚の経験から始まります。彼女はパートナーが外国籍であり、自身はパートナーの姓を選んで「カタカナ姓」を名乗っていると明かしました。しかし、パートナーが日本の睡蓮氏の姓を選択できなかった経験から、「『外国人は日本姓を名乗るな』と言われた気がしました」と複雑な思いを吐露しています。

さらに、睡蓮氏はカタカナの名前になったことで、予期せぬ場面で「外国人」扱いをされることがあると指摘。悪気がないのは理解しつつも、それを差別だと微塵も感じていない人々の感覚に「ぞっとさせられる」と語っています。彼女の子どもは「ミックスルーツ」、つまり日本以外のルーツも持つことを強調し、「私には『日本人』というものがよくわからないし、日本人ファーストなどという言葉や考えは気味が悪くて仕方ありません」と改めて「日本人ファースト」への強い嫌悪感を表明しました。また、彼女は「日本に暮らして税金を納めても選挙権を持たない人たちがたくさんいます。そう思いたくない人もいるのでしょうが、日本はすでに“日本人”以外も含む様々な人々から成り立っています」と述べ、日本社会の多文化的な現実と、そこに存在する不平等を指摘しています。

参院選に向けた演説を行う参政党の神谷宗幣代表参院選に向けた演説を行う参政党の神谷宗幣代表

「日本人ファースト」と排外主義:参政党の台頭が抱える懸念

睡蓮氏の発言は、自身の経験を踏まえ、多様なルーツを持つ人々が暮らす日本において、「日本人ファースト」という言葉が、同じ社会で生活する一部の人々を傷つけたり、排除したりする可能性を警告するものです。しかし、彼女の投稿に対して、SNS上では排外主義的な主張を繰り返す反応も多く見られ、議論の根深さを示しています。「日本人ファースト」というキャッチコピーは、参院選に向けて勢いを増している参政党が掲げる主要なスローガンの一つでもあります。同党の影響力が増す中で、睡蓮氏のように危機感を募らせる人々も増えているのが現状です。外国人、あるいは異なるルーツを持つ人々を「他人」ではなく、共に日本社会を構成する一員と捉える視点の重要性が、改めて問われています。

多様性を包摂する社会へ:日本の未来像

睡蓮みどり氏の一連の発言は、現代の日本社会が直面する本質的な問いを投げかけています。すなわち、グローバル化が進む中で、日本がどのように多様な人々を受け入れ、共生していくのかという課題です。彼女の個人的な体験から語られる「日本人ファースト」への違和感は、単なる感情論ではなく、制度的・社会的な構造に潜む差別意識や、外国人政策のあり方に対する批判を含んでいます。外国人を「他人」と見なすのではなく、共にこの社会を築き、税を納め、文化を共有する隣人として尊重する意識が、これからの日本には不可欠です。多様なルーツを持つ人々が安心して暮らせる、真に包摂的な社会の実現に向けて、私たちは議論を深め、具体的な行動を起こしていくべき時を迎えています。

参考資料

  • X (旧Twitter) – 睡蓮みどり公式アカウント (2024年7月16日付投稿)
  • Yahoo!ニュース (スマートフラッシュ元記事)