海保機の滑走路進入指示が交信記録にない? 羽田空港での日航機炎上事故で国交省が記録を公表

滑走路進入指示の交信記録が公表されず

東京・羽田空港での衝突事故で、日本航空(JAL)の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突し、5人が亡くなる悲劇が起きました。国土交通省は、この事故に関連する管制官と機体の交信記録を公表しましたが、それによると海上保安庁の滑走路への進入指示は確認されませんでした。

事故の概要

日本政府や警視庁によると、JAL機と海上保安庁機の衝突により、炎上したJAL機の乗員乗客379人が避難しましたが、乗客の一部は重傷を負いました。一方、海上保安庁機の乗員6人のうち5人が死亡し、機長は重傷を負いました。

交信記録の公表

国土交通省は、この事故に関連する空港管制官とJAL516便、海上保安庁機の交信記録を公表しました。これによると、海上保安庁機に対して滑走路への進入指示は出ていなかったことが確認されました。

JAL516便は、札幌の新千歳空港を出発し、羽田のC滑走路に着陸しました。一方、海上保安庁機は、羽田空港航空基地に所属していました。

交信記録の内容

交信記録によると、管制塔は海上保安庁機に対し午後5時45分、「JA722A、東京タワー、こんばんは。出発機1番目、C5上の滑走路停止位置まで地上滑走してください」と指示しました。海上保安庁機は、8秒後に滑走路停止位置C5へ滑走する旨を答えました。滑走路停止位置は、滑走路手前の誘導路にあり、離陸予定の飛行機はここで滑走路に入る順番を待ちます。

交信記録によると、海上保安庁機と管制塔の交信はこれで終わっています。

機長の発言との相違点

一方、朝日新聞などの報道によると、海上保安庁機の機長は事故直後、「管制官から離陸許可が下りていたという認識だった」と話していたとされています。

国交省が公表した記録によると、管制官は午後5時43分2秒にJAL機に対して「滑走路34Rに進入を継続してください」と指示しました。さらに、午後5時44分56秒には、「滑走路34R 着陸に支障なし」と連絡し、JAL機は5秒後に同じ内容を復唱しました。

日本航空は3日未明の記者会見で、乗員から聞き取った内容として、着陸許可を認識し、着陸操作を実施したと発表しました。

滑走路の状況

報道によると、当該の滑走路停止位置にはいくつかの照明が点灯していなかったとの情報があります。しかし、専門家によると、滑走路とその周辺には、照明だけでなく、滑走路への進入位置がマーキングされていると指摘しています。

乗客の証言

乗客の一人は、「着陸時にボンと何かにぶつかったように突き上げる感じがした。窓から火花が見え、機内にガスや煙が充満した」と話しています。

事故現場では、着陸したJAL機から大きな火の玉が上がり、機体が炎上しながら滑走し、停止する様子が映っていました。乗客は非常扉からシュートで脱出し、機体から離れました。

最終的な報告

日本航空は事故に関してコメントしました。「当社のJAL516便が羽田空港に着陸した際、海上保安庁の航空機と接触し滑走路上で炎上しました。お亡くなりになられた海上保安庁の関係者の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。当社便にご搭乗されていたお客様、乗員は全員脱出したことを確認しております」と述べました。

首相官邸での記者会見で、岸田首相は、「能登半島地震の対応のために搭乗していた海上保安庁の職員6人のうち、5人が死亡したと報告を受けた。この方々は、被災地、被災者のために高い使命感、責任感を持って職務にあたっていた職員で、大変残念なことだ。その使命感に敬意と感謝を表し、哀悼の誠をささげる」と述べました。

エアバスは事故原因調査のために専門家チームを日本に派遣することを発表しました。

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