ハマス最高指導者シンワル氏、イスラエル軍が殺害を発表　人質解放に向け戦闘継続を表明

イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区で戦闘が続く中、イスラエル軍は10月17日、イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと発表しました。

ハマス指導者を立て続けに失い、組織の弱体化は必至

イスラエル軍によると、シンワル氏はガザ南部で16日に行われた作戦中に殺害されました。地元メディアは、シンワル氏は数ヶ月前からガザ最南部のラファに潜伏しているとイスラエル軍が見ていたものの、正確な場所までは把握していなかったと報じています。

イスラエルの対外情報機関モサドは、がれきの中に横たわるシンワル氏の遺体とされる画像を公開。遺体は頭部や顔、足が激しく損傷しており、歯型やDNA型による判定が行われたとのことです。

シンワル氏は、昨年10月のイスラエルへの奇襲攻撃の首謀者とされており、イスラエルのネタニヤフ首相は「恨みを晴らした」と戦果を誇示しました。

ハマスは、今年7月末に当時の最高指導者だったイスマイル・ハニヤ氏が暗殺されたことを受け、ガザ地区トップだったシンワル氏を8月に最高指導者に選出したばかりでした。指導者を立て続けに失ったことで、ハマスの弱体化は必至とみられています。

イスラエル側は、徹底抗戦を唱え戦闘員の支柱となってきたシンワル氏の死によって、ハマスの戦闘継続が困難になり、人質の帰還と停戦に向けた動きが浮上することに期待を寄せています。

ネタニヤフ首相は17日、シンワル氏殺害を受けバイデン米大統領と電話で協議し、人質の解放に向け協力していく方針で一致しました。ブリンケン米国務長官が数日中にイスラエルを訪問し、停戦などに関し同国要人と話し合う予定です。

ネタニヤフ氏は、「ハマスがガザを支配することはない」と強調し、人質の帰還は「戦争終結に近づく機会だ」と述べました。また、ハマス戦闘員らに対し、解放すれば安全を保証した上でガザから出ることを容認すると呼びかけました。

ハマスのイスラエル奇襲では、ガザ周辺の集落などが襲撃され、約1200人が死亡しました。ハマスは約250人をガザに連れ去っており、現在も約100人の人質が残されているとされています。

ガザでは、イスラエル軍の激しい攻撃により4万2000人以上が命を落としています。