マクロン大統領のイスラエル建国発言、仏上院議長が「無知」と痛烈批判

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、イスラエルが国連決議によって建国されたことを「忘れてはならない」と発言し、波紋が広がっています。この発言に対し、仏上院のジェラール・ラルシェ議長は「イスラエル建国の歴史に対する無知を露呈している」と厳しく批判しました。

マクロン大統領の発言とは?

マクロン大統領は15日、レバノン南部におけるイスラエル軍の攻撃に関する懸念が高まる中、閣議で1947年のパレスチナ分割決議に言及。「ネタニヤフ首相は、自国が国連の決定に基づき建国されたことを忘れてはならない」と発言しました。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領(左)とジェラール・ラルシェ上院議長。パリで(2024年7月14日撮影)。フランスのエマニュエル・マクロン大統領(左)とジェラール・ラルシェ上院議長。パリで(2024年7月14日撮影)。

ラルシェ議長の批判

この発言に対し、右派のラルシェ議長はラジオ局のインタビューで、「イスラエルの存在に疑問を呈することは、私にとって根本的な問題だ」と不快感を表明。「このような発言がなされたことに、がくぜんとした」と述べ、マクロン大統領を「歴史に無知」と断damしました。

ラルシェ議長は、マクロン大統領が1917年のバルフォア宣言や、ホロコーストの影響を軽視していると指摘。イスラエル建国は国連決議だけでなく、こうした歴史的背景を踏まえて理解する必要があると主張しました。

イスラエル側の反応

イスラエルのネタニヤフ首相もマクロン大統領の発言に反発。「イスラエルは国連決議ではなく、独立戦争で勝ち取ったものだ」と反論し、「英雄たちの多くはホロコーストの生存者であり、フランス系ユダヤ人も含まれていたことを、マクロン大統領は思い出してほしい」と強調しました。

さらにネタニヤフ首相は17日、仏紙フィガロのインタビューでも、マクロン大統領が歴史を「ひどく歪曲、無視している」と批判を繰り返しました。

フランス国内の反応

マクロン大統領の発言は、フランス国内のユダヤ人コミュニティからも懸念の声が上がっています。ユダヤ人団体からは、大統領府に対し発言の真意を問いただす動きもあると伝えられています。

今回の発言は、フランスとイスラエルの関係に緊張をもたらす可能性もあり、今後の両国関係の行方が注目されます。