東京メトロ、上場と新たな章へ:2つの新路線計画に迫る

2004年、東京の地下鉄の歴史に新たなページが開かれました。「営団地下鉄」の民営化により誕生した東京メトロは、20年後の2023年10月23日、東京証券取引所プライム市場への上場を果たしました。国と東京都が保有する株式の半分が売却され、その規模は6972億円にものぼります。

今回の東京メトロ上場は、日本の株式市場にとって久々の大型案件として注目を集めました。しかし、その裏には、東京メトロが長年温めてきた2つの新路線計画の存在があります。それは、有楽町線の延伸と南北線の延伸です。

有楽町線と南北線、延伸計画の概要

有楽町線の延伸計画は、豊洲駅から分岐し、東西線の東陽町駅を経由して、半蔵門線・都営新宿線の住吉駅までを結ぶ全長4.8kmの新路線を建設するものです。

一方、南北線の延伸計画は、白金高輪駅から分岐し、品川駅に至る全長2.5kmの路線を建設する計画です。

東京メトロ路線図東京メトロ路線図

これらの新路線計画は、2021年7月に国の交通政策審議会がまとめた答申の中で、東京メトロが事業主体として早期に事業化を進めるべきとされました。

新路線計画と上場の密接な関係

実は、東京メトロの上場と2つの新路線計画は、密接に関係しています。国の交通政策審議会は、東京メトロの上場によって得られる資金を、これらの新路線建設に充てることを想定しているのです。

南北線延伸:都心部と品川を結ぶ新たな動脈

南北線の延伸計画は、2010年代以降、東京都が中心となって推進してきた比較的新しい計画です。

2015年に東京都がまとめた鉄道整備計画では、六本木など都心部とリニア中央新幹線の駅整備や再開発が進む品川駅を結ぶ路線として、「都心部・品川地下鉄」構想が浮上しました。そして、翌2016年には、国の交通政策審議会による答申にも盛り込まれ、計画が具体的に動き始めました。

開業は2030年代半ば、東京の未来を変える

有楽町線と南北線の延伸は、いずれも2030年代半ばの開業を目指しています。これらの新路線が開業すれば、東京の交通網はさらに便利になり、人々の暮らしや街の風景にも大きな変化をもたらすでしょう。

東京メトロの上場と新たな路線計画は、東京の未来を大きく変える可能性を秘めています。