半世紀を経てなお残る疑問、検察の主張と袴田さんの未来
1966年に静岡県で発生した一家4人殺害事件で、死刑判決を受けながらも再審無罪となった袴田巌さん(88)。検察トップである畝本直美検事総長は、控訴断念を発表すると同時に、異例の長文談話を発表しました。これは袴田さんの無罪を認めない検察側の姿勢を示すものとして、大きな波紋を呼んでいます。
談話の内容とは? – 無罪判決への不満と袴田さんを犯人視する姿勢
袴田巌さん ©時事通信社
8日、控訴期限まで残りわずか2日というタイミングで発表された畝本検事総長の談話。談話では、半世紀以上にわたる袴田さんの境遇を考慮し、控訴を断念すると説明しました。しかし、その大半は判決に対する批判であり、「不満を抱かざるを得ない」など、検察側の無罪判決への不満が色濃く反映された内容となっています。
特に、地裁判決で証拠の捏造が認定された点について、検察官の関与を否定し、「具体的な証拠や根拠が示されていない」と反論。あたかも袴田さんが犯人であることを示唆するかのような表現さえ見られます。
なぜこのような談話に? – 検察内部の対立と経験不足が背景か
異例の談話を発表した畝本直美検事総長
今回の談話は、控訴断念という決断とは裏腹に、袴田さんの無罪を認めようとしない検察の姿勢を浮き彫りにしたものと言えるでしょう。法曹界からは、初の女性検事総長である畝本氏の経験不足を指摘する声も上がっています。
検察内部では、畝本氏に対する風当たりが強く、現場からの信頼も薄いと言われています。今回の談話も、捜査経験豊富な現場からの突き上げによって、苦肉の策として発表された可能性も考えられます。
今後の展開は? – 明快な結論は期待薄、再審制度の課題も浮き彫りに
今回の談話を受け、弁護団は「袴田さんへの名誉毀損だ」として、最高検察庁に抗議しています。検察内部の対立や畝本氏のリーダーシップ不足が露呈した形となり、今後の対応が注目されます。
袴田さんの事件は、日本の刑事司法制度における再審制度の課題を改めて突きつける結果となりました。検察は、自らの誤りを認め、真実に真摯に向き合う姿勢が求められています。