この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」
といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回はお肉の選び方について解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
● 肉の脂身、ラードはカラダに悪い?
牛肉、豚肉、鶏肉の脂身(あぶらみ)や脂は飽和脂肪酸で、これは血管を傷つけて心臓の病気や脳梗塞などをもたらします[*67]。私たちのカラダには悪い脂です。
そして、シミ、しわ、たるみなどの遠因にもなるので皮膚にもよくありません。さらに脳の酸化(記憶力や判断力の低下など)も引き起こします。肉の脂はカットするのがおすすめです。
ラード(豚の脂)を使った揚げ物はカラッと揚がっておいしいのですが、健康面ではおすすめできません。精肉店から牛脂をもらったり、肉のパックに入っていたりしても、使わないようにしましょう。
● 脂身を取るなんて面倒くさい…と思ったら
肉の脂を取り除くなんて面倒! と思うかもしれませんが、可能な範囲で、白い脂の部分を包丁で切り落とせばOKです。
肉組織の中にサシとして入っている脂は切り落とせないので、しゃぶしゃぶなどの調理法でお湯に溶かして取り除くという方法もあります。
ただ、そこまで神経質にならなくても大丈夫です。細かい部分の脂まで全部除去するのは面倒なので、適当でOK。
スーパーなどで肉を買うときには、ばら肉や肩肉といった白い脂の多い部位は可能な範囲で避けて、なるべく赤身を選ぶことをおすすめします。
● 子どもが大好きなハンバーグは脂肪を抑える!
ひき肉料理の代表例、ハンバーグ。しかし、市販のひき肉は脂肪が多すぎます。赤身肉でハンバーグを作りましょう。
◆ヘルシー赤身ハンバーグ◆
材料のポイント
● 赤身のひき肉を用意しましょう。
→ 赤身の豚肉や牛肉を、精肉店でひいてもらう。
→ 赤身肉を買ってきて、自宅のブレンダーやフードプロセッサーでひく。
→ 赤身肉を買ってきて、包丁で細かくあらびきにする。
など。
作るときのポイント
◆ 家庭で作るいつものハンバーグのレシピでOK。
◆ ボウルの中で肉をよく練ると、細胞の中のうま味が出る。肉を練ったあとに、玉ねぎのみじん切り、スパイスやハーブ類を混ぜる。
◆ 焼くときに、焦げ目はあまりつけないように。焦げ=糖化になる。
ハンバーグに限らず、ひき肉料理は赤身肉で作ってみてくださいね。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)
*67 de Oliveira Otto MC, et al. Dietary intake of saturated fat by food source and incident cardiovascular disease: the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis. Am J Clin Nutr. 2012 Aug; 96(2):397-404.
伊藤明子