モルドバ国民投票:EU加盟反対が過半数、サンドゥ大統領は「民主主義への攻撃」と非難

モルドバで揺らぐEU加盟への道

2024年10月20日、モルドバで大統領選挙とEU加盟の是非を問う国民投票が同時に行われました。開票率90%の時点で、EU加盟への反対票が過半数に達し、親欧州派のマイア・サンドゥ大統領は「モルドバの自由と民主主義に対する前例のない攻撃だ」と強い言葉で非難しました。

モルドバの首都キシナウの選挙対策本部で記者会見するマイア・サンドゥ大統領モルドバの首都キシナウの選挙対策本部で記者会見するマイア・サンドゥ大統領

サンドゥ大統領、ロシアの影を指摘

サンドゥ大統領は首都キシナウで行われた記者会見で、「モルドバは、自由と民主主義に対する前例のない攻撃に直面してきた。きょうも、そしてここ数か月間ずっとだ」と主張。 「犯罪集団がわが国の国益に敵対する外国勢力と共謀している」とし、「彼らの狙いは、民主的なプロセスを弱体化させることにある」と、名指しは避けつつもロシアによる介入への懸念を表明しました。

国民投票では、EU加盟への反対票が54%、賛成票は46%という結果になりました。在外投票の集計によっては結果が変わる可能性も残されていますが、モルドバのEU加盟への道のりは険しいものとなる可能性があります。

大統領選は決選投票へ、親ロシア派が予想外の善戦

大統領選挙は開票途中ですが、サンドゥ大統領の得票率は38%にとどまっており、親ロシア派の社会党の支援を受けている元検事総長のアレクサンドル・ストイアノグロ氏の得票率が、予想を上回る28%超となっています。来月、両氏による決選投票が行われる公算が大きくなっています。

モルドバの政治専門家であるイリーナ・ベレシュク氏は、「今回の結果は、モルドバ国内で親ロシア派の影響力が依然として強いことを示している」と分析しています。「サンドゥ大統領はEU加盟を推進することで、国民の支持を得ようとしてきましたが、経済状況の悪化や汚職問題への不満から、国民の多くが親ロシア派に傾倒している」と指摘しています。

モルドバは、ウクライナとルーマニアに挟まれた東ヨーロッパの小国で、旧ソ連邦の構成国でした。2014年のクリミア危機以降、ロシアとの関係が悪化しており、EU加盟を模索してきました。しかし、今回の国民投票の結果は、モルドバのEU加盟が容易ではないことを示すものとなりました。