近年、街中で見かけることが多くなった電動キックボード。手軽な移動手段として注目を集める一方で、違法運転や事故、トラブルも後を絶ちません。今回は、電動キックボードにまつわる現状と、大手企業Luupの新体制について詳しく解説します。
飲酒運転で逮捕者も… 電動キックボードの現状
2023年7月の法改正により、16歳以上であれば運転免許なしで運転できるようになった電動キックボード。しかし、その手軽さゆえに、交通ルールを軽視した危険な運転が目立つようになっています。
福岡県福岡市では10月15日、酒気を帯びた状態で電動キックボードを運転していたとして、27歳の会社員男性が現行犯逮捕されました。警察の調べに対し、男性は「電動キックボードは飲酒運転しても良いと思っていた」と供述しているとのことです。
警察庁の発表によると、2023年7月から2024年6月までの1年間で、電動キックボードの交通違反の検挙件数は2万5156件に上ります。最も多い違反は歩道走行、次いで信号無視と、基本的な交通ルールが守られていない実態が浮き彫りになっています。
事故件数も増加傾向にあり、同期間で219件発生、負傷者数は226人に達しています。歩行者との衝突事故が目立つことから、歩行者側も注意が必要です。
消防法違反？ Luupのポート設置場所に批判殺到
電動キックボードの違法駐車も社会問題化しています。10月6日、X（旧Twitter）上であるホテルの「避難器具降下地点」に設置されたLuupのポートが拡散され、批判が殺到しました。
避難はしごの昇降場所として確保されているはずのスペースに、無断でポートが設置されていた事態を受け、X上では「消防法違反では？」「人命軽視だ」といった声が上がりました。その後、問題のポートは撤去されたようですが、Luupの安全管理体制に疑問符がつく形となりました。
ホテルの避難器具降下地点に設置されたLuupのポート
Luup、新体制で信頼回復なるか？ 元JAL社長や元警視総監を起用
相次ぐトラブルを受け、電動キックボード大手Luupは10月16日、新体制を発表しました。新たに社会取締役として元日本航空代表取締役社長の大西賢氏ら3名、監査役として元警視総監の樋口建史氏、経済産業省出身で弁護士の國峯孝祐氏の2名を迎え入れました。
Luup代表取締役CEOの岡井大輝氏は、「素晴らしい方々をLuupに迎えることができ、大変嬉しく、心強く感じています」とコメントしています。
経験豊富な経営者や法律の専門家を招聘したことで、企業統治の強化、コンプライアンス意識の向上、安全対策の強化などが期待されます。新体制のもと、Luupは社会の信頼を取り戻せるのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。
