創価学会の「大票田」で苦戦必至? 萩生田氏、公明党との亀裂で窮地に

かつて将来を期待された自民党の元幹部、萩生田光一氏が逆風に苦しんでいる。官房副長官、経産大臣、文科大臣、自民党政調会長など、輝かしい経歴を持つ萩生田氏だが、今回の衆院選では苦しい戦いを強いられている。

学会票に支えられた政治基盤

萩生田氏の地元である八王子市は、創価大学や東京富士美術館など、創価学会関連施設が多く、学会員の「大票田」として知られている。過去の選挙では、その組織力を背景に盤石な強さを誇ってきた萩生田氏だが、今回は公明党の支援を受けられないという痛手を負っている。

地元政界関係者によると、前回衆院選で獲得した約15万票のうち、実に3割にあたる4万4千票が学会票だと自民党内で囁かれており、萩生田氏の政治基盤は学会票に大きく依存している実態が浮き彫りになっている。

選挙区調整で生じた亀裂

萩生田氏と公明党・創価学会の間に亀裂が生じたのは、昨年5月の選挙区調整がきっかけだった。新設される東京28区(練馬区の一部)への擁立をめぐり、両者は激しく対立した。

公明党はこの選挙区を重要視していたが、萩生田氏は自身の支援者である安藤高夫・前衆院議員を自民党候補として擁立することを主張。さらに、隣の東京29区でも公明党候補が出馬を表明しているにもかかわらず、萩生田氏が独自候補を立てる動きを見せたことから、創価学会の怒りを買うことになった。

公明党との関係悪化、窮地に立たされる萩生田氏

特に、創価学会の佐藤浩副会長は激怒したと言われている。菅義偉元首相との太いパイプをもち、学会内での絶大な影響力を持つ佐藤氏の怒りは、容易に鎮まることはなかった。

公明党の石井啓一幹事長は会見で「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と発言。公明党からの推薦を受けられなくなった萩生田氏は、厳しい選挙戦を強いられることになった。

萩生田光一氏萩生田光一氏

かつては安倍晋三元首相の側近として権勢を振るった萩生田氏だが、今回の選挙では苦境に立たされている。公明党・創価学会との関係悪化は、彼の政治家生命を左右するほどの大きな痛手となる可能性も秘めている。果たして、萩生田氏は学会票なしで勝利を掴むことができるのだろうか?