産経新聞社とFNNが合同世論調査をもとに分析した衆院選の終盤情勢のうち、関西では日本維新の会が本拠地の大阪府で堅調だ。公明党と初対決する大阪と兵庫の計6小選挙区のうち、大阪の3小選挙区で先行。自民党の派閥パーティー収入不記載事件で争点化した「政治とカネ」の問題を追及し、大阪では自民と議席を争う15小選挙区の大半でリードしている。
【地図でみる】衆院選で注目される関西の小選挙区 維新VS公明の6選挙区の行方は
終盤情勢分析では、維新と公明が対決する大阪の4小選挙区のうち、大阪3、5、6区はそれぞれ維新新人が公明前職に先行している。公明前職が引退した16区は維新新人と立憲民主党前職が競り合い、公明新人が猛追している。
兵庫2、8区ではいずれも公明前職がやや優勢で、維新新人が迫る展開だ。維新は兵庫県の告発文書問題での対応が批判を呼んだほか、衆院選公示直前に8区の候補予定者が県知事選に転出することになり、急遽(きゅうきょ)候補を差し替えたことなどが影響しているとみられる。
選挙期間中、唯一の日曜日だった20日、石破茂首相(自民総裁)と公明の山口那津男前代表は6小選挙区でそろって街頭演説。大阪で支持層が厚い維新との対決に危機感を持っている表れといえる。公明の石井啓一代表も支持拡大に向け、選挙戦終盤の23日に大阪と兵庫に入る予定だ。
維新と自民が争う大阪の15小選挙区では、8小選挙区で維新が安定した戦いを展開し、3小選挙区で優勢。ほか4小選挙区は競っている。
首相は21日、大阪で自民が追う展開となっている5小選挙区の応援に入った。野党に対し「各党によって言っていることが全く違う。われわれは調子いいことを言って国を引っ張れると全く思っていない。どのような政権を作るのか全く分からない人たちに、この国を任せていいはずがない」と批判した。小渕優子組織運動本部長は接戦区を中心にてこ入れした。
地域政党「大阪維新の会」の横山英幸幹事長(大阪市長)は21日、政治とカネの問題について記者団に「選挙前はそれほど関心がないと思ったが、(国民の)内に秘めた怒りのようなものを感じる」との見方を示し「政治改革を進め、社会保障改革、経済対策を訴える」と強調した。(沢田大典)