モルドバ国民投票:EU加盟支持が僅差で勝利も、不正疑惑浮上

東欧の小国モルドバ、EU加盟をかけた国民投票で波紋

ルーマニアとウクライナに挟まれた小国モルドバで、EU加盟をかけた国民投票が20日に行われました。開票の結果、賛成が50.46%、反対が49.54%と、僅差で賛成派が勝利しました。

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親EU派現職大統領も再選ならず、決選投票へ

当初、賛成派が圧勝すると予想されていただけに、この結果は国内外に衝撃を与えています。モルドバでは国民投票と同時に大統領選挙も行われましたが、親EU派の現職マイア・サンドゥ大統領も再選に必要な過半数の票を獲得できず、11月3日に決選投票に臨むことになりました。

サンドゥ大統領、大規模な不正を主張

サンドゥ大統領は21日、国民投票の結果を受け、「困難な戦い」の初戦に勝利したと宣言しました。一方で、今回の投票は「不当」なものであったとも主張。モルドバの「敵」である「犯罪集団」が「外国勢力」と結託し、金銭や嘘、プロパガンダを使って選挙を操作したと非難しました。

サンドゥ大統領は、30万票が買収された「かつてない規模の不正」の「明確な証拠」を政府が握っていると主張。これはモルドバだけでなく、いかなる民主主義にとっても危険な現象であると訴えました。

ロシアの影?BBCも投票買収の現場を目撃

モルドバ当局はここ数週間、ロシアがEU加盟反対派に資金提供を行い、投票を操作しようとしていると主張していました。BBCも20日、ロシア系住民が多く住むモルドバ東部の沿ドニエストル地域の投票所で、投票買収の現場を目撃したと報じています。

モルドバの未来は?EU加盟への道のりは険しく

今回の国民投票は、モルドバがEU加盟を目指すのか、それともロシアとの緊密な関係を維持するのか、その岐路となる重要な試金石とされていました。僅差ではあったものの、EU加盟支持が過半数を獲得したことで、モルドバはEUへの道を歩み出すことになりそうです。

しかし、今回の選挙で表面化したように、ロシアの影響力は依然として根強く、EU加盟への道のりは容易ではありません。11月3日の大統領選挙の結果次第では、モルドバのEU加盟がさらに不透明になる可能性も残されています。