注意:以下の記事には動物虐待に関する文字による描写が含まれます
世界中で猫や子猫を拷問し、その動画をオンラインで共有、販売する国際ネットワークが拡大しており、英国にもそのメンバーが存在することがBBCの調査報道で明らかになりました。さらに、このネットワークの中心的な役割を果たすアカウントの背後には、東京在住の27歳の男性がいることが判明し、国際的な動物虐待の実態が浮き彫りになっています。数千人規模と見られるこのネットワークは、生々しい動物の画像や映像をインターネット上で共有しており、深刻な社会問題として注目されています。
英国で発覚した残虐な事件と国際的関連性
今年5月初め、ロンドン北西部ルイスリップの公園で、2匹の子猫が残虐な方法で殺害されているのが発見されました。同月半ばには10代の男女が逮捕され、子猫への拷問と殺害を認めています。子猫たちは切り開かれ吊るされた状態で見つかり、現場からはナイフやブロートーチ、はさみなどの凶器が発見されました。警察は現在、この事件が猫を拷問して撮影し、暗号化されたサイトで動画を投稿・販売する国際ネットワークと関連している可能性を調査しています。
オンライン虐待ネットワークの規模と恐るべき実態
この虐待グループは中国で始まったとされていますが、BBCは英国を含む世界中でメンバーが活動していることを確認しました。動物愛護団体「Feline Guardians」の記録によると、2023年5月から2024年5月にかけて、子猫や猫の拷問・殺害を映した新しい動画が約14時間に1本のペースでアップロードされており、その規模は拡大の一途をたどっています。同団体は今年活動した24のグループを記録しており、最大のグループには1000人以上のメンバーが所属。最も活発な参加者は200匹以上の猫の拷問と殺害を撮影したと見られています。
BBCが確認した暗号化されたチャットグループのやり取りには、英国を拠点とするアカウントが含まれており、虐待目的の猫の入手方法について議論していました。ある参加者は英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)から子猫を引き取る方法を投稿し、別の投稿者は売りに出されている子猫の広告を共有し「すごく拷問したい」と書き込んでいました。
オンラインで共有される子猫虐待動画のイメージ
「Feline Guardians」のボランティアであるララさんは、虐待フォーラムに潜入した経験から「毎日、胸が張り裂けそうになる」と語り、参加者たちが動物に「悪の極み」ともいえる果てしない苦しみを与えようとしていると証言しています。BBCが確認した映像では、猫が溺死させられたり、感電死させられたりするほか、ケージに入れられた子猫に餌を与えず、いつまで生きるかを推測し合う動画も存在しました。メンバーたちは猫にできるだけ多くの苦痛を与えようとしており、オンライン・チャットでは、苦痛を長引かせるために猫を蘇生させる方法まで説明されていました。新メンバーは、より広範なネットワークへのアクセスを得るために、猫を切り刻んだ動画を投稿することが奨励されています。
さらに恐るべきことに、このグループには複数の子供が参加していることを示唆する証拠も見られました。ある会員は「私は10歳で、猫を拷問するのが好きです」と投稿していました。2023年9月には、「猫100匹殺害」コンテストまで開催され、メンバーは猫100匹をどれだけ早く拷問して殺せるかを競い合っていました。
「小羽維尼」の正体と東京在住者の関与
猫に対する残虐な拷問を描写した動画は、2023年に中国で初めて流行しました。その中心人物とされるワン・チャオイ氏は中国当局に拘留されましたが、彼の映像はカルト的な人気を博し、同様のコンテンツを制作する模倣犯が続出。これが後に、暗号化された通信アプリでのグループ結成につながりました。あるウェブサイトは「猫好きコミュニティー」を自称し、利用者には自分が猫を虐待した証拠を提示してはじめて閲覧を認めるという、異常な仕組みが構築されています。
この猫虐待コミュニティーで特に知られているのが、「小羽維尼(小さいウィニー)」というアカウントです。中国の習近平国家主席を「くまのプーさん」の画像で揶揄するプロフィール写真を使用しており、多くのフォーラムの管理者として記載されています。「Feline Guardians」の活動家が「小羽維尼」アカウントの一つに接触し、オンラインでその背後にいる男性と関わりを持つことに成功しました。活動家は「この相手に親しげに接触して、その後に仲良くする必要があって、吐き気がした」と語り、数週間にわたる潜入捜査を経て、最終的にビデオ通話をするよう説得しました。その通話から、このグループは東京に住む27歳の男性を特定しましたが、男性はBBCの取材に対し、こうした活動には全く関与していないときっぱりと否定しています。
国際社会が直面する動物虐待という課題
「Feline Guardians」のララさんは、この虐待グループが「拡大し続け、悪化し続けるばかりだ」と述べ、各国政府と捜査当局による摘発の必要性を強く訴えています。同団体はこれまでにロンドンの中国大使館前でデモを行い、中国当局にいっそうの対応を要求してきました。「中国大陸にはこうしたことを止める法律がないため、虐待者や拷問者は何の罪も問われることなくサディスティックな妄想を現実に移すことができる」とララさんは指摘。また、「虐待動画はアップロードされており、本質的にこれは世界的な問題だ。誰でも見ることができ、子供たちまでもがこれを見ている」と警鐘を鳴らしています。
英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)特別対策部のイアン・ブリッグス責任者はBBCに対し、「このような動物の扱いは絶対に許されることではない。親切で思いやりのある動物愛好家が大半を占める現代社会にはふさわしくない」と述べました。英国下院で猫愛護超党派議員団を率いるジョハンナ・バクスター下院議員は、これらのグループが「特に若い男性の間で、深く憂慮すべき傾向」であると指摘し、「動物虐待はしばしば入り口となる。それを機に、実行者の中で将来的な暴力行為が合理化されやすくなり、実行しやすくなる」と、動物虐待がより深刻な犯罪への足がかりとなる可能性を強調しました。この国際的なネットワークの存在は、動物福祉だけでなく、社会全体の安全保障に関わる問題として、国際的な協力と法整備の重要性を示唆しています。
Source: BBC News