なぜ石破政権は大苦戦しているのか…自民党が総裁選で絶対にやるべきだった「禊の済ませ方」


【写真】内閣総理大臣 石破茂

■社会学と経済学から日本の問題を見ていく

 【西田】僕と安田さんはほぼ同世代ですが、名実ともに雑草社会学者である僕とエリート経済学者である安田さんが対談連載をするというのは感慨深いです。特に経済学ではほぼ評価につながらない対談連載を、安田さんが引き受けた理由をお聞きしたい(笑)。

 【安田】ええっ! 最近二人で『日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議』(日本実業出版社)という対談本を作ったばかりじゃないですか(笑)。あらためて説明すれば、僕と西田さんは専門分野が違うので、同じ時事問題を見る視点も違うわけです。社会学だけではなく多方面の知識がある西田さんの視点には、いつも刺激を受けています。

 【西田】そうでした(笑)。社会問題を楽しく考える、語り合う、ということが、とても大事だと考えているんです。今の世の中、ちょっと真剣すぎるじゃないですか。多くの専門家も自分の専門領域以外について語ることに、とても慎重になってしまっています。

 【安田】経済学の世界でも、第一線の学者が一般向けに情報発信することは珍しいです。経済論文を執筆する「ハードアカデミズム」の世界にいる人は、メディアにはほとんど出てきません。私がこうした対談を続けているのも、そこに問題意識を感じるからです。

 【西田】社会学でも古いところでは、清水幾太郎なんかは、社会的な発信を多く行っていた一人でした。世界でもハワード・ベッカーのような学者もいます。社会学者ではありませんが、ドイツのユルゲン・ハーバーマスもいますね。日本では文芸評論家の江藤淳もそうです。彼らはアカデミズムの世界に留まらず、「アウトサイダー」としてジャーナリスティックな仕事も重ねていました。例えば、清水幾太郎は「売文業者」や「芸人」と卑下しつつも、社会の出来事を評論し、今も読まれています。僕には自分のキャリアを彼らみたいなあり様に重ねてみたい、という気持ちがどこかにあります。

 【安田】二人は西田さんのモデルケースなのですね。経済学でもそれこそケインズくらいまで遡ると、経済学者がメディアや政治の世界と関わりを持っていたものです。でも、そういったタイプの大御所は、ミルトン・フリードマンあたりが最後ではないかと思います。彼はノーベル経済学賞の受賞者でありながら、テレビの人気シリーズに出たり、『資本主義と自由』や奥さんと共著の『選択の自由』など、一般向けのベストセラーを出したりしてきました。

 【西田】僕たちの対談も、「考えるきっかけ」になっていけば嬉しいです。



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