多摩川で「水難事故」多発のリアル 外国人が「飛び込みキケン!」の看板から続々ダイブ  「浮いて待て」は通用しない


【写真】エッ? ホントに飛び込むの? 崖上からダイブする人々【飛び込みキケン!】

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■「遊泳禁止」の場所なのに

 7月上旬の日曜日、正午前にして気温はすでに35度を超えていた。東京都西部の山あい、多摩川と日原(にっぱら)川の合流地点にある氷川渓谷は、JR奥多摩駅から徒歩5分。交通の便がよく、涼を求める人たちの人気スポットだ。

 ただし、川の水量はかなり多く、流れも速いため、遊泳は禁止されている。日原川沿いの遊歩道を歩くと、日本語を含めて5カ国語で「遊泳禁止」と記された看板をあちこちで見かけた。川に架かる吊り橋から上流に目を向けると、河原で50人ほどが水遊びやバーベキューを楽しんでいた。キャンプは禁止されているが、テントを張っている人もいた。

 しばらくすると、バーベキューをしていた10人ほどの男性グループの一人が、「吊り橋まで泳いでいくぞ!」と大声で宣言。手にしていた缶ビールを岩の上に置くと、雄たけびを上げ、川の深みに飛び込んだ。一瞬、姿が見えなくなり、数秒後、水面に顔を出すと、30メートルほど下流の橋を目指して泳いでいく。それを追うように、別の男性も川に飛び込んだ。

■一気に流れが速くなる

 吊り橋付近のこの河原では水難事故が繰り返し発生している。昨年は外国籍の3人が死亡した。奥多摩観光協会の矢作佑允(やはぎ・ゆうすけ)さんは、こう語る。

「酔っ払って川に入り、流された人もいます。川底の地形は複雑で、水深がかなり深いところもある。日原川と多摩川が合流する吊り橋付近で、一気に流れが速くなるんです。2キロ以上流されて、遺体が発見されたこともありました」

 以前、ここを訪れる人の多くは遊歩道を散策するハイカーだった。ところが、5年ほど前から河原を訪れる人が急激に増え、水難事故が立て続けに起きた。コロナ禍で3密が避けられるとして、河川敷が注目を浴びたこともあるという。

■バーベキュー目的でやってくる9割が外国人

「いい場所があるなどと、SNSなどで広まったようです。『無料でキャンプができる』という内容もあったと聞いています」(矢作さん)

 現在、バーベキュー目的でやって来る人の9割は外国人だと、矢作さんはみる。

「河原を見回り中、バーベキューをしている人に話しかけると、それなりに日本語をしゃべれるので、いわゆる外国人観光客ではないと思います。都内だけでなく、川遊びができる場所の少ない千葉方面から来る人も結構いるようです」(同)



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