北海道福島町の住宅地で12日未明、新聞配達中の佐藤研樹さん(52)がヒグマに襲われて死亡した。目撃した男性(69)が一部始終を語った。
午前3時前。悲鳴が聞こえたような気がして、目が覚めた。「なんだべ」。寝ぼけ眼で階段を下り、玄関の扉を開けると、目の前にヒグマがいた。距離はわずか2、3m。ヒグマの足元には人影が横たわり、ぴくりとも動かない。亡くなった佐藤さんだった。男性は追い払おうととっさに大声を出し、その場で110番した。
別の目撃者によると、ヒグマの体長は約1~1.5m。男性の声を聞き、近所の人が集まってきた。突然、ヒグマは佐藤さんの身体を口でくわえると、引きずりながら歩き出し、狭い通路を抜けて姿を消した。
砂利敷きの庭には血痕が約30センチ四方に広がり、通路脇の塀にも点々と血が付いていた。しばらく後、近くのやぶで見つかった佐藤さんの遺体は腹部を中心にひどくかまれ、頭から脚まで全身に爪痕が残っていた。「車内からヒグマを見たことはあったが、こんなに近くで遭遇するとは」。男性は恐怖を隠せない。