オンラインの世界は、匿名性という仮面の下に潜む闇を抱えている。今回、英国で起きた痛ましい事件は、その闇の深さを改めて私たちに突きつけた。
事件の発端は、写真・動画共有アプリ「Snapchat」上での出会いだった。26歳の男、アレクサンダー・マッカートニー被告は、10代の少女を装い、世界中の少女たちに近づき、親密な関係を築き上げていった。そして、その信頼を悪用し、少女たちに性的な画像を送るよう要求。拒否すれば、その画像を公開すると脅迫したのだ。
彼の魔の手は、遠く離れたアメリカにも及んでいた。ウェストバージニア州に住む12歳の少女、シマロン・トーマスさんも、彼の犠牲者の一人だった。シマロンさんは、妹も性行為に参加させるよう強要され、耐え難い苦しみに追い詰められた末、2018年5月に自ら命を絶った。
この事件は、シマロンさんの家族に計り知れない悲しみをもたらした。シマロンさんの父親もまた、愛する娘を失った悲劇から立ち直ることができず、1年半後に後を追うように自殺したのだ。
マッカートニー被告は、子ども70人に関係した185件の罪を認め、少なくとも20年は仮釈放なしの終身刑を言い渡された。しかし、それでシマロンさんとその家族の命が戻るわけではない。
SNS時代の新たな脅威「オンライン・グルーミング」とは
この事件は、「オンライン・グルーミング」と呼ばれる、インターネット上の性的搾取の恐ろしさを浮き彫りにした。オンライン・グルーミングとは、加害者がSNSなどで子どもに近づき、巧みな話術で信頼関係を築いた上で、性的な目的で搾取する行為を指す。
子どもを守るために、私たちができること
このような悲劇を二度と繰り返さないために、私たち一人ひとりができることがある。子どもたちが安全にインターネットを利用できる環境を作るために、家庭や学校、社会全体で力を合わせていくことが重要だ。
- 子どもとのコミュニケーション: インターネット上の危険性について、子どもとオープンに話し合おう。
- フィルタリングサービスの活用: 有害なサイトへのアクセスを制限するフィルタリングサービスを利用しよう。
- SNSのプライバシー設定: SNSのプライバシー設定を見直し、個人情報の公開範囲を制限しよう。
まとめ
今回の事件は、インターネット社会の闇を浮き彫りにしたと同時に、私たちに大きな課題を突きつけた。子どもたちをオンラインの危険から守るために、社会全体で対策を講じていく必要がある。
