ロシアへの北朝鮮軍派遣疑惑:SNSに真偽不明の情報が拡散

ウクライナ紛争に北朝鮮軍が関与しているとの疑惑が浮上する中、関連情報がSNS上で錯綜しています。

情報機関が派遣を確認も…SNS情報は真偽不明

韓国、米国など複数の情報機関は、ロシアへの北朝鮮軍兵士派遣を確認したと発表しました。しかし、その後SNS上には真偽不明の投稿が相次いでいます。

米国政府系ラジオ「自由アジア放送(RFA)」によると、あるテレグラムチャネルには「ロシアに派遣された北朝鮮軍兵士の訓練装備」と称する写真が掲載されました。写真には、ロシアと北朝鮮の国旗が描かれたバッジ付きの軍服や、「金日成」と書かれた名札、小銃などが写っています。

北朝鮮とロシアの国旗バッジと「金日成」と書かれた名札北朝鮮とロシアの国旗バッジと「金日成」と書かれた名札

しかし専門家は、これらの装備品について「本物ではなく、趣味などに使うレプリカ(複製品)の可能性が高い」と指摘しています。韓国の市民団体「自主国防ネットワーク」のイ・イルウ事務局長は、「北朝鮮であのような形で『金日成』という言葉を使えば大変なことになる」「防弾チョッキも防弾服が入らない複製品のようで、小銃のハンドガードもロシア軍が使うものとは異なる」と指摘しました。

ウクライナ語を話す「北朝鮮兵士」の動画も

さらに、今月21日にはX(旧ツイッター)やTikTokなどで、「北朝鮮兵士がロシア製軍服などを紹介する動画」が拡散しました。動画にはアジア系の男性が、シベリアで使用されるヤクート語で軍服や軍靴などを説明する様子が映っています。しかし、この動画についても真偽は不明です。

また、別のテレグラムチャネルには「逮捕された北朝鮮兵士」とされる東洋人捕虜の動画が公開されました。しかし、この男性はウクライナ語を話しており、部隊や国旗などの情報も確認されていません。

専門家「情報源の確認が重要」

米シンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングナー上級研究員はRFAの取材に対し、「SNS上の情報は疑わしいものが多い。しかし、韓国と米国が複数の情報に基づき北朝鮮軍の存在を確認していることは重要だ」とコメントしています。

今回の件は、情報戦の激化を背景に、真偽不明の情報が拡散しやすい状況を改めて浮き彫りにしました。情報源の信頼性を慎重に見極めることが重要です。