秋の園遊会:承子さまの「おもてなし」術と社交性、皇室の温かい交流

爽やかな秋晴れの下、10月28日には天皇皇后両陛下主催の秋の園遊会が赤坂御苑で開催されました。招待者と皇族方とのより活発な交流を促すため、皇室側の動線ルートが変更され、今回で2度目の試みとなります。この特別な機会に、各皇族方はそれぞれの魅力を生かした「おもてなし」の心遣いを見せられました。中でも、高円宮家の長女である承子さまは、その気さくでユーモア溢れるお人柄と、豊富な話題で会話をリードする社交性で、周囲に笑顔の輪を広げられました。

秋の園遊会で招待者と会話される承子さま。牡丹色のドレスと帽子が印象的で、おもてなしの心遣いが伺えるご様子。秋の園遊会で招待者と会話される承子さま。牡丹色のドレスと帽子が印象的で、おもてなしの心遣いが伺えるご様子。

招待者との心温まる交流:承子さまの親しみやすいお人柄

園遊会は、僊錦閣跡の小高い丘から、天皇陛下を先頭に皇后雅子さま、そして皇族方が降りてこられるお馴染みの光景から始まります。高円宮妃久子さまに続く承子さまは、列の最後尾で招待者との交流の時間を取られますが、そのお姿は常に丁寧で、一人ひとりとじっくり向き合われます。飾らない親しみやすいお人柄は、承子さまを多くの人々から慕われる存在としています。園遊会中、明るい声が響く方へ目を向けると、そこには承子さまを囲み、リラックスした笑顔で会話を楽しむ招待者の姿が常にありました。

ユニセフでの国際経験と皇族としての務め

承子さまは、英国エディンバラ大学での約4年間の留学経験を経て、2013年から日本ユニセフ協会に勤務されています。現在もベテラン職員として、東ティモールやスイスなどへの海外出張もこなし、途上国や紛争地域の子どもたちの現状を伝える「ユニセフ・キャラバン・キャンペーン」の国内研修で進行役を務めるなど、その専門知識と経験を発揮されています。

ユニセフでの公務と並行して、地方公務や被災地の視察といった皇族としての務めも果たされており、多忙な日々を送られています。こうした経験は、招待者に対する承子さまの「おもてなし」の心遣いを一層際立たせています。特に、緊張のあまり言葉が出にくい方やご高齢の方に対しては、優しく寄り添い、相手の目を見つめ、深く頷きながら対話されることで、静かで心温まる交流を大切にされています。

ユーモアと話題で会話をリード

普段から承子さまの周りには、笑い声が絶えません。さばさばとしたご性格で、時には親しみやすい表現も交えられます。「学会でチーンと鳴るみたいなやつですね」「というパターンですね」といった言葉で、場の空気を和ませることも。相手の職業や地域に合わせた話題を臨機応変に振り、会話を巧みにリードされるのは、承子さまの持ち味です。

招待者の笑顔を引き出すのは、ユーモアたっぷりの会話です。例えば、胸に「郵政民営化委員会委員」のネームプレートを付けた株式会社AsMamaの甲田恵子社長との会話では、「わたしつい、『民』政『郵』営化って言ってしまって…(笑)」と、ご自身の言い間違いを冗談めかして「告白」されました。この朗らかなエピソードに甲田さんからも思わず笑みがこぼれ、場の空気が和らぎます。続けて承子さまは「(郵政民営化委員会は)小泉政権で立ち上がったのでしたね」と話を広げ、周りの招待者にも目を配りながら、「地方にいると、コンビニはなくても郵便局はありますね。地元の人の生活の拠点として役割を果たして…」と、地域の実情に触れる話題で会話の輪を広げられました。このような場面からも、承子さまの周りにいる招待者たちが、いかにリラックスして会話を楽しんでいるかがよく分かります。

ご両親譲りの社交性:久子さまの国際的な活躍

承子さまの気さくなお人柄と優れた社交性は、ご両親から受け継がれたものでしょう。特に母である高円宮妃久子さまは、英国の高校からケンブリッジ大学ガートン・カレッジをご卒業されており、流暢なフランス語と英語を操られます。かつて東京へのオリンピック招致活動では、その確かな語学力で東京の魅力を世界に発信し、招致を強力に後押しされたことは広く称賛されました。今年も、大阪・関西万博のために来日する海外王室の賓客を、万博会場や東京各地で接遇されるなど、国際親善において重要な役割を担われています。元大使経験者が「久子さまは、とにかく多才で、国内外問わず評価が抜群に高い方」と語るように、そのご活躍は国内外で高く評価されています。

結び

秋の園遊会を通じて、承子さまはご自身の豊かな国際経験と持ち前の親しみやすさ、そしてご両親譲りの優れた社交性を存分に発揮され、招待者一人ひとりに温かい「おもてなし」の心遣いを示されました。そのユーモアと細やかな気配りによる会話のリードは、多くの人々に笑顔と安らぎをもたらし、皇室と国民との間の心温まる交流を深める貴重な機会となりました。高円宮家の皆様が示す国際感覚と親しみやすいお人柄は、現代における皇室の重要な役割の一つであり、そのご活躍は今後も多くの人々に希望と喜びを与えることでしょう。

参考文献