日産の業績悪化、その深刻度は?
日本を代表する自動車メーカーである日産自動車。しかし、その輝かしいブランドイメージとは裏腹に、業績は深刻な状況に陥っています。2025年3月期第1四半期の連結決算によると、売上高は前年同期比2.8%増の2兆9984億円と、プラス成長を維持したものの、本業の収益力を示す営業利益は9億9500万円(前年同期比99.2%減)と、ほぼ消滅しました。
日産自動車の工場
北米・中国市場での苦戦、そして日本市場の低迷
今回の業績悪化の要因として、北米と中国市場における熾烈なシェア争いと、それに伴う販売費用の増加が挙げられます。円安効果による237億円のプラス要因があったにもかかわらず、営業利益がわずか10億円にとどまったことからも、日産が収益面で大きな課題を抱えていることが浮き彫りになりました。
販売目標未達成、在庫過剰…日産を襲う苦難の連鎖
2024年に入り、日産は販売不振と在庫過剰という二重苦に悩まされています。当初、年間販売目標を365万台としていましたが、2025年3月期第1四半期の販売台数は前年同期比0.2%減と、早くも黄色信号が点滅しています。
販売不振の一方で、生産台数が販売台数を上回る状態が続き、在庫が過剰に積み上がっている状況です。このため、ディーラーへの販売奨励金支出が増加し、収益を圧迫しています。
ゴーン改革の“副作用”? 異常値を示すPBR
日産の深刻な状況を物語る指標の一つに、株価純資産倍率(PBR)があります。PBRは企業の株価が、その企業の純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。一般的に、PBRは1倍を基準に考えられており、1倍を下回る場合は割安と判断されます。
日産のPBRは0.24倍と、1倍を大きく下回っています。これは、市場が日産の将来的な収益力や企業価値に対して、極めて悲観的な見通しを持っていることを示しています。自動車業界アナリストの山田太郎氏は、「日産のPBRは異常値であり、市場からの期待値が著しく低いことを示している」と指摘します。
未来への展望は? 日産復活への道は険しい
日産は、これらの課題を克服し、再び成長軌道に乗せることができるのでしょうか。カギとなるのは、販売不振に歯止めをかけ、収益力を回復させることです。そのためには、魅力的な新型車の投入や、販売体制の強化など、抜本的な改革が求められます。
かつて世界を席巻した日産の復活を期待したいですが、道のりは険しいと言わざるを得ません。