内科医として58年、今も診療にあたる現役医師の天野恵子さんは、今や当たり前になった女性専用の診療科目「女性外来」の普及に貢献したパイオニア。自身も不調や老いと向き合う日々の中で、どのように体と心を整えているのでしょうか。天野さんの著書『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』から一部を抜粋し、健やかに過ごすヒントを探ります。
【写真】天野医師がリラックスする癒やしの存在としてかわいがるネコのマー君
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■高齢期は朝時間を充実させて活動的に
ふだんの生活は早寝早起きが基本です。起床は4時半。年齢とともに必要な睡眠時間が自然とへってきて、朝早くから活動するように生活がシフトしてきました。
朝の時間を充実させることでリフレッシュでき、気持ちよく1日をスタートさせられます。
朝、起きたらまず、カーテンを開けて太陽の陽ざしをたっぷり浴びます。白湯を飲み、ぬるめのお風呂につかって15分。季節を問わず、体をじっくり温めてその日の活動に備えます。
そのあと、2匹の猫たちをリードにつなげ、朝の散歩へ出かけます。朝食の前に軽く体を動かすことで、空腹状態になり、朝食をおいしく味わうことができるので、朝の散歩は長年の習慣になっています。
私たちの睡眠は光と密接に関わっており、朝、太陽の光を浴びてから約14~16時間後に体内で「メラトニン」という睡眠を促すホルモンが分泌され、夜ぐっすり眠れるようになっています。
加齢とともにこのメラトニンの分泌が低下していきますから、日中、陽の光を意識して浴びるようにすると、夜のスムーズな入眠への備えとなります。
散歩から戻ったら、ゆっくり朝食をとり、メールのチェックや論文の執筆などに取りかかります。静かなこの時間に集中してデスクワークをこなすようにしています。
その後、身支度を整え、仕事に出かけます。
■帰宅後の癒やしの時間
夕方、仕事から帰って玄関のドアを開けると、2匹の猫が出迎えてくれます。リビングで彼らと触れ合う時間は、心癒やされる至福の時間。彼らに食事を与えたら、自分の食事の準備です。
食後、また猫たちと遊んで少し腹ごなしをしたら、ぬるめのお湯に15分ゆっくりつかり、体を芯から温めます。朝と夕、1日2回の入浴もまた、長年の習慣です。