韓国で増加する海外逃亡犯、その実態と対策とは?

韓国では、禁錮刑や懲役刑の判決を受けたにもかかわらず、海外に逃亡し、刑が執行されないままの被告人が後を絶ちません。今回は、増加する海外逃亡犯の実態と、韓国政府が取るべき対策について解説します。

韓国における逃亡犯の現状

韓国国会で法務部が提出した資料によると、2022年までに実刑判決を受けながら収監前に逃亡した人は6,075人にものぼり、そのうち1,014人は海外に逃亡しています。

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(写真:朝鮮日報日本語版)

海外逃亡者は年々増加しており、2019年には698人だったのが、2020年には815人、2022年には928人と、1,000人を超えるまでになりました。

なぜ海外逃亡は後を絶たないのか?

逃亡事件の多くは、被告人が拘束されていない状態で行われる裁判で発生しています。判決が出る前に実刑判決を受ける可能性が高いと判断し、収監を避けるために逃亡を図るケースが多いようです。

検察関係者は、「不拘束で裁判を受けている人全員を出国禁止にすることはできない」と現状の難しさを語っています。

一方、検察は一審で実刑判決を受けたものの、まだ収監されていない被告人については、大半を出国禁止にしています。韓国の法律では、刑事裁判が進行中の者や、懲役刑・禁錮刑の執行が終わっていない者などに対して、法務部長官が最大6カ月間の出国禁止措置を取ることが認められています。

逃亡犯検挙の現状と課題

検察は、携帯電話の位置情報や聞き込み、張り込みなどを通して逃亡した被告人の検挙に力を入れていますが、年間検挙率は60%前後にとどまっています。

司法関係者からは、「適切な時期に出国禁止としていれば、逃亡を防げたはずだ。逃亡後に検挙するために人員や予算が無駄に使われている」という指摘も出ています。

韓国政府が取るべき対策とは?

増加する海外逃亡犯の問題に対し、韓国政府は以下のような対策を強化していく必要がありそうです。

  • 出国禁止措置の強化: 実刑判決を受ける可能性が高いと判断される場合、より迅速かつ積極的に出国禁止措置を取るべきです。
  • 逃亡犯検挙のための国際協力の強化: インターポールなどと連携し、海外に逃亡した犯罪者の情報共有や身柄の引き渡しを強化する必要があります。
  • 裁判手続きの見直し: 逃亡の動機や手段を分析し、裁判手続きの改善や法改正も視野に入れるべきでしょう。

韓国では、逃亡犯による新たな犯罪発生の可能性も懸念されています。政府は、国民の安全を守るためにも、実効性のある対策を早急に講じる必要があります。