高齢化が進む日本で、病院や自宅に次いで「介護施設」で亡くなる方が増えているという現状をご存知でしょうか。住み慣れた家でもなく、治療に特化した病院でもない「介護施設」で最期を迎えるとは、一体どういうことなのでしょうか。この記事では、介護施設での看取りについて、その実態やターミナルケアの考え方、そしてご家族が知っておくべきことなど、多角的に解説していきます。
介護施設におけるターミナルケアとは?
介護施設で過ごす高齢者の写真
「介護施設でのターミナルケアはいつから始まるのか?」という質問をよく受けます。しかし、明確な線引きは難しいのが現状です。医学的には、あらゆる治療を施しても病状の回復や死を免れることができない状態を「ターミナルステージ(終末期)」と定義しますが、高齢者の場合は、入居した時点ですでに広い意味でターミナルステージに差し掛かっているとも言えます。
人生の最終章をどのように過ごすかは、人それぞれです。だからこそ、介護施設では入居者一人ひとりの意思を尊重し、残された時間を大切に過ごせるよう、きめ細やかなケアを提供することが重要です。「〇〇ケアサービス」の介護福祉士、田中一郎さん(仮名)は、「ご本人の希望を丁寧に聞き取り、可能な限り実現することで、穏やかな最期を迎えられるよう支援しています」と語ります。
予測が難しい「その時」
医療機器の写真
医師から「余命わずか」と宣告されても、数年生き続ける方もいれば、予期せぬ突然の死を迎える方もいます。人間の寿命は予測不可能であり、高齢者において「ここからがターミナルステージ」と明確に区切ることが難しい理由の一つです。
一部の施設では、「みなしターミナル」という基準を設けているところもあります。例えば、一定期間における体重減少率などから終末期と判断するケースです。しかし、これも絶対的な基準ではなく、個々の状況に応じて柔軟に対応する必要があります。高齢者医療の専門家である佐藤恵子医師(仮名)は、「数値だけで判断するのではなく、ご本人の状態やご家族の意向を総合的に考慮することが大切」と指摘します。
介護施設での看取り:大切な家族との時間
介護施設での看取りは、ご家族にとっても大きな意味を持ちます。最期の時まで寄り添い、穏やかな時間を共有することで、深い絆を再確認できる貴重な機会となるでしょう。施設側も、ご家族の精神的なサポートを行いながら、共に最期を見送るお手伝いをしています。
まとめ
介護施設での看取りは、高齢化社会における重要な選択肢の一つです。医療と介護の連携、そしてご家族の協力のもと、人生の最終章を穏やかに過ごせるよう、様々な取り組みが行われています。この記事が、介護施設での看取りについて理解を深める一助となれば幸いです。