ハマスの指導者を殺害しても、イスラエルはガザ地区への攻撃を続けている。ガザ地区北部はイスラエル軍に包囲され、多くの住民に安全な避難場所はなく、南へ向かうルートはイスラエル軍に封鎖されている状態だと、米紙「ワシントン・ポスト」などは報じる。
【画像】ヨルダン川西岸地区ではひとたび入植地を作ってしまえばイスラエル人は軍に保護される
激しい攻撃と避難の強制、そして人道支援の妨害などによって民族浄化をおこない、イスラエルはガザ地区を自分たちの土地にしようとしている──イスラエル政府は否定しているものの、そのような疑惑は消えることはない。
いま、2005年に撤退したガザ地区のイスラエル人入植地(これは国際法違反である)を再び作ろうという運動が、イスラエル内で盛り上がっている。そしてその集会には、政権与党の幹部や閣僚も顔を出し、公然と支持を表明しているという。
与党や閣僚が「パレスチナは存在しない」
2024年10月21日、ガザ地区との境界に近い場所で、ユダヤ教の三大祭である仮庵の祭りを祝うと同時に、ガザ地区への入植を呼びかける集会がおこなわれた。イスラエル・パレスチナ合同メディア「+972マガジン」によると、この1年間で、より大規模で過激なイベントも何度かおこなわれていた。しかし21日の集会は、ガザへの再入植という思想が主流化しつつあることを示す象徴的なイベントだったという。
特筆すべきは、集会に参加した重要な政治家の面々だ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相が所属するリクード党や、同じく政権与党のユダヤの力党がブースを出していただけでなく、両党の国会議員の姿も見られたという。
現役閣僚も出席した。メイ・ゴラン社会平等・女性エンパワーメント相(リクード党)、イタマル・ベン・グヴィル国家安全保障相(ユダヤの力党)、ベザレル・スモトリッチ財務相(宗教シオニスト党)が大物ゲストとして登壇。
ベン・グヴィルは「ガザ人の移出を促進しようではないか。彼らに対して、どこかほかの国に行く機会を与え、土地は我々のものだと伝えることが、最も道徳的で、正しく、そして強制力のない解決策だ」とスピーチし、ガザ地区はイスラエルのものだと明言した。
リクード党の別の議員は、会場内で受けたインタビューに対して「パレスチナ人など存在しない。あるのは、イスラエルという国が存在するからといって、特定の地域に集まってパレスチナ国家を要求している人々だけだ。それは民族ではなく、殺人者の集まりだ」と述べたという。