バイト不足で嘆く店長…採用難時代の実態と“バイト様”の台頭

コンビニやカフェなど、様々な業界で人手不足が深刻化しています。かつては簡単に採用できたアルバイトも、今では集まらない時代。今回は、現場で働く店長や副店長の声を元に、採用難の実態と変わりつつあるアルバイトの現状に迫ります。

変化するアルバイト像:責任感の欠如と横暴な態度

大手コンビニで副店長を務める50代のAさんは、8年間の勤務経験を通してアルバイトの質の変化を痛感していると言います。「昔はフリーターが多かったですが、今は高校生や主婦が中心。生活がかかっていないためか、責任感が希薄で、中には店長に歯向かう人もいます」とAさんは嘆きます。レジ金横領や、仕事が覚えられない高齢アルバイトなど、問題行動を起こすケースも少なくないようです。

コンビニのレジコンビニのレジ

一方で、Aさんは外国人アルバイトの勤勉さを高く評価しています。「生活がかかっている彼らは非常に真面目で、大手コンビニの外国人向け研修プログラムも充実している。今では外国人アルバイトが貴重な戦力となっています」と語っています。飲食業界専門の人材紹介会社B社によると、外国人労働者の増加は全国的な傾向であり、特にコンビニや飲食業界では欠かせない存在になっているとのこと。

カフェの採用事情:応募者の激減と当日欠勤の常態化

埼玉県でファストフード店の店長代理を務める46歳の金澤裕也さん(仮名)も、深刻な人材不足に悩まされています。「駅から車で15分かかる立地もあり、半年間の応募はわずか数件。時給の高いバイトをかけ持ちしている大学生は、長時間シフトにはまず応募してきません」と金澤さんは言います。

現在の主力である主婦や高校生でも当日欠勤は日常茶飯事で、その穴埋めは管理職の負担になっているとのこと。さらに、頼みの綱である主婦バイトリーダー同士の衝突も頻繁に発生し、金澤さんは板挟み状態。「本社とアルバイトの間で板挟みになり、神経をすり減らす日々です」と苦悩を明かします。

“バイト様”の時代:店長不在の現場

人手不足の影響で、アルバイトの立場は強くなっています。以前は店長が指示を出す立場でしたが、今ではアルバイトの顔色を伺い、機嫌を損ねないように気を遣う“バイト様”の時代。飲食店経営コンサルタントのC氏は、「アルバイトの待遇改善や、働きやすい環境づくりが急務です。そうでなければ、優秀な人材はさらに離れていくでしょう」と警鐘を鳴らしています。

カフェで働く店員カフェで働く店員

かつては店長が中心だった職場も、今ではアルバイトが主導権を握る時代へと変化しています。採用難の現状は、日本の労働環境の大きな変化を象徴していると言えるでしょう。