日本の教育現場で尽力してきた一人の女性が、カナダへの移住を決意し、保育士として新たな人生を歩み始めた。彼女はなぜ日本を離れ、海外で働くことを選んだのか。その背景には、日本の教育現場が抱える様々な課題と、彼女自身の強い決意が隠されていた。
教員時代の苦悩:長時間労働とパワハラ、そして学級崩壊
バンクーバーで保育士として働く友香さん(40歳)は、かつて日本の公立小学校で教員として8年間勤務していた。しかし、長時間労働とパワハラ、そして学級崩壊という厳しい現実が彼女を追い詰めていった。
早朝から始まる登校指導、児童や保護者への対応、授業準備、採点…終わりの見えない仕事に追われる日々。残業代も出ないまま、プライベートの時間を犠牲にしてまで子どもたちのために尽くすも、正当な評価や待遇を受けることはなかった。
パワハラと学級崩壊:心身ともに疲弊した日々
上司からのパワハラも彼女の心を蝕んでいった。週に数回呼び出され、クラス運営について一方的に責め立てられる日々。改善策を一緒に考えてくれることもなく、精神的に追い詰められていった。
そして、教員3年目には学級崩壊という大きな試練が訪れた。暴力や暴言を繰り返す児童、授業に集中できない子どもたち、登校を怖がる生徒…。友香さんは一人で問題を抱え込み、トイレに行く時間さえ惜しんで子どもたちを見守っていた。
元小学校教師の友香さん。カナダで保育士として新たな人生を歩んでいる。
職員会議で助けを求めた友香さん。しかし、上司からの言葉は彼女をさらに絶望の淵に突き落とすものだった。「他の先生はもっと大変な状況でも頑張っている」—まるで彼女の苦労を否定するかのような言葉に、彼女は深く傷ついた。
カナダでの新生活:保育士として子どもたちと向き合う喜び
日本で経験した苦悩から逃れるように、友香さんはカナダへの移住を決意した。2016年に移住し、2018年から保育士として働き始めた。
保育士の仕事:子どもたちの成長を支えるやりがい
カナダの保育施設では、子どもたちの個性を尊重し、一人ひとりの成長をサポートする保育が実践されていた。友香さんは、子どもたちと心を通わせ、共に成長していく喜びを感じながら、保育士としての仕事にやりがいを見出していった。
カナダの保育施設で働く友香さん。子どもたちの笑顔に囲まれ、充実した日々を送っている。
2020年には永住権を取得し、カナダでの生活基盤を築いた友香さん。彼女はもう日本には戻れないと語る。日本の教育現場の厳しい現実と、カナダでの充実した生活。そのコントラストが、彼女の決意をさらに固いものにした。
未来への希望:子どもたちの未来のために
友香さんの物語は、日本の教育現場が抱える問題点を浮き彫りにすると同時に、海外で活躍する日本人の希望も示している。彼女のように、自分の夢を実現するために海外へ飛び出す若者が増えている。
子どもたちの未来のために、教育現場の改善が求められる。そして、一人ひとりが自分らしく輝ける社会の実現が、私たちの未来を明るく照らしてくれるだろう。