山尾志桜里氏の「小5男子」投稿巡る騒動と波紋:女性天皇・選択的夫婦別姓への疑問視

参議院選挙の東京選挙区に無所属で立候補した山尾志桜里氏が投稿したX(旧ツイッター)の内容が物議を醸している。選挙活動中に小学5年生の男子から「女性天皇と選択的夫婦別姓」の実現を頼まれたとするポストに対し、「小5がそんなことを言うのか?」という疑問の声が噴出し、山尾氏は事実だと主張しつつも当該投稿を削除した。この真偽が疑われた背景には、山尾氏以外にはほとんど触れられない「レア公約」とも言える女性天皇実現論があることも大きいが、本人は訴えへの共感が広がっていると説明している。

問題となったX投稿の経緯と山尾氏の反応

話題となった投稿は7月9日、山尾氏の公式Xアカウントに掲載された。ノートとペンを持ち、しゃがんで低い目線で男性らしき人物と会話する山尾氏の写真に、「三鷹駅。小5男子がわざわざ来てくれました!『政治家になにをやってほしいですか?』と聞いたら『女性天皇と選択的夫婦別姓』と即答。やるよ!」というコメントが添えられていた。

この投稿に対し、インターネット上では即座に「ヤラセではないか?」との疑念や批判が相次いだ。山尾氏は同日中に「私へのバッシングにとどまらないので」と理由を説明し、このポストを削除した。

しかし、翌10日未明には、この投稿を取り上げたインターネット記事を引用し、当該メディアに対して削除を求める抗議文を送付したと表明した。さらに、「虚偽の決めつけに基づく批判の拡散、特に人格攻撃に至るようなものについては、このリプライ欄も含め、法的措置を検討します。特に今回は、私以外の方を傷つけかねない悪質なものもあるため、断固たる対応を行います。」と強く反論し、法的な対応も辞さない姿勢を示した。

山尾志桜里氏が屈みノートを持つ写真、小5男子との会話を投稿した際のイメージ山尾志桜里氏が屈みノートを持つ写真、小5男子との会話を投稿した際のイメージ

なぜ「小5がそんなこと言うか?」と疑問視されたのか

特に注目を集めたのは、「小5男子が女性天皇の実現を求めた」という部分である。女性天皇の容認、さらには女系天皇に関する議論は、保守的な立場からは強い反対意見が出ることが多く、山尾氏が自身の公約の筆頭に掲げている点でもある。

山尾氏は政見放送でもこの件に言及し、「万が一にも皇位が途絶えてしまったら、国会を開くことも総理を任命することもできなくなって日本の政治はストップします。現状は男性天皇の男のお子様にしか皇位継承を認めない今の制度のもとで、次世代のお世継ぎはたった一人になってしまっています。それは危うい状況です。そこで男性天皇の女のお子様にも皇位継承を認めることが必要だと考えます。女性天皇の提案です。将来に向けては、女性天皇の男のお子様にも女のお子様にも皇位継承を認める。女系天皇、この選択肢も排除せず議論すべきです」と、現行制度の危機感を訴え、女性天皇や女系天皇に関する議論の必要性を主張している。

しかし、こうした皇位継承に関する具体的な主張を、山尾氏のように知名度のある候補者や有力政党が公約の前面に掲げる例は他にほとんど見られず、今回の参院選における主要な争点とはなっていない。

また、そもそも小学生が天皇制、特に皇位継承や女系天皇といった複雑なテーマに強い関心を持つことは一般的ではないと見られている。さらに、夫婦別姓についても、小学5年生が結婚制度のあり方を深く理解し、特定の制度を求めることは稀であると考えられている。インターネット上で「小5男児が考えることか?」という疑問が多数噴出したのは、こうした一般的な小学生の関心事や理解度との乖離によるものと推測される。

小学生の教育現場に詳しい中学受験塾の関係者は、「小学生が『女系天皇』と『夫婦別姓』に興味ですか……政治に興味を持つ子はいても、私はこれまで出会ったことないですね。参議院選挙は入試問題に出る可能性はありますが、国会の仕組みなどがメインで、特定の政策を勉強する子は少ないです」と、その珍しさを指摘する。また、小学5年生の娘を持つ母親も、「結婚制度だって小5の子はしっかり理解していないし、天皇も男性だけがなっているという制度もわかんないんじゃないかな。それに、学校で『知らない大人に話してはいけない』と強く教えられている中で、自分から話しかける子は今時なかなかいない。それがフツーなようにSNSに書かれるのは困ります」と、子どもの理解度や行動様式からみて不自然だと首をかしげた。

まとめ

山尾志桜里氏の「小5男子が女性天皇と選択的夫婦別姓を求めた」というX投稿は、その内容の具体性、特に政治的関心の高いテーマである女性天皇に関する言及から、多くのインターネットユーザーに真偽を疑われる結果となった。山尾氏は投稿を削除しつつも、批判に対しては法的措置も示唆する強い姿勢で反論している。この騒動は、候補者が発信する情報がどのように受け止められ、公約の中でも特に議論が必要なテーマがどのように人々の関心を引くか、そしてソーシャルメディア上での発信がもたらす波紋を示す事例となった。


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