アライグマが深刻な問題となっているドイツで、なんと駆除されたアライグマの肉を使ったソーセージやミートボールが大人気商品になっているという驚きのニュースが飛び込んできました。今回は、この斬新な食肉ビジネスを展開する猟師、ミヒャエル・ライス氏と、そのユニークな商品について詳しくご紹介します。
害獣駆除から生まれた新しい食材
ドイツでは、爆発的に増加するアライグマによる被害が深刻化しています。駆除されたアライグマは通常廃棄処分されていましたが、ライス氏はそこにビジネスチャンスを見出しました。2022年、ベルリン西部のカーデに食肉店を開業し、自治体の許可を得てアライグマを食材として加工販売することを開始しました。
アライグマ肉ソーセージを販売するライスさん
ラクーンボールからソーセージまで、多彩な商品展開
ライス氏の最初のヒット商品は、アライグマの肉を使った肉団子「ラクーンボール」。国際食品見本市で注目を集め、店でも飛ぶように売れました。その後、オンライン販売も開始し、現在はサラミを含め7種類ものアライグマ肉商品を製造・販売しています。
アライグマ肉の味とは?
気になるアライグマ肉の味について、ライス氏は「他の肉と大きな違いはなく、クセがない。どちらかといえば、他の肉よりも少し柔らかい」と説明しています。また、「2種類のソーセージを食べ比べても、どちらがアライグマ肉か分からないだろう」と自信満々に語っています。
ドイツ全土から集まるアライグマ肉ファン
「ヨーロッパでアライグマ肉を売っているのは私たちだけ」と誇らしげに語るライス氏。その商品は口コミで広がり、ドイツ全土からお客さんが訪れるほどの人気ぶりです。「アライグマ肉を試すためだけに、150キロも運転して日帰り旅行で来る人もいる」というから驚きです。
アライグマ増加の背景
北米原産のアライグマは、1920年代に毛皮用にドイツに持ち込まれ、1934年に野生に放たれました。以来、森林や草原だけでなく都市部でも繁殖し、その数は爆発的に増加。現在、ドイツ国内の生息数は200万匹と推定されています。
生態系への影響と駆除のジレンマ
アライグマの増加は、生物多様性や絶滅危惧種への影響も懸念されており、ドイツのほぼ全州で狩猟が認められています。しかし、駆除後のアライグマの扱いについては、依然として議論が続いています。
駆除されたアライグマ
ライス氏の挑戦は続く
ライス氏の取り組みは、害獣駆除という社会問題をビジネスチャンスに変えた革新的な事例と言えるでしょう。今後の商品展開や、アライグマ肉がドイツの食文化にどう影響していくのか、注目が集まります。