ANAの777-9、客室仕様は変更なしの方針 納入遅延も最新鋭機で国際線競争激化に挑む

ANAホールディングス(ANAHD)は、ボーイング777-9型機の納入遅延にも関わらず、当初予定通りの客室仕様で受領する方針を明らかにしました。国際線市場の競争激化が予想される中、最新鋭機材と既存の高級客室仕様で勝負に出る戦略のようです。

ボーイング777-9、納入は2026年に延期

当初2021年度から受領予定だったボーイング777-9型機ですが、ボーイング社の品質問題や度重なる納入遅延により、2026年までずれ込む見通しとなっています。ANAHD社長の芝田浩二氏は、この遅延を認めつつも、777-9型機を国際線の次世代フラッグシップと位置づけ、競合他社に遅れを取らないよう準備を進めていると強調しました。

ボーイング777-9のイメージ図ボーイング777-9のイメージ図

既存の高級客室仕様を維持

777-9型機の客室仕様は、2019年に導入された777-300ERに搭載されている「THE Suite」(ファーストクラス)と「THE Room」(ビジネスクラス)に準じるとされています。これらの客室は、個室空間と高いプライバシーを重視した設計で、国際線のプレミアム需要を取り込む狙いがありました。納入遅延により就航開始が当初予定より7年遅れることになりますが、ANAHDは現時点で客室仕様の大幅な変更は予定していないとしています。

シート変更の難しさ

航空機シートの変更には、耐空証明の再取得など多大なコストと時間を要します。また、コロナ禍による航空業界の人手不足も、シートメーカーの生産能力に影響を与えており、容易に変更できる状況ではありません。航空業界専門家の山田一郎氏(仮名)は、「シートの仕様変更は、機体の安全性や快適性に直結する重要な要素であり、慎重な検討が必要となる。特に、既存のシートが好評を得ている場合は、変更によるリスクも考慮しなければならない」と指摘しています。

ボーイング777Xの試験機のコックピットボーイング777Xの試験機のコックピット

最新鋭機材と高級客室で国際線競争に挑む

国際線市場は、コロナ禍からの回復に伴い競争が激化しています。各航空会社は、最新鋭機材の導入やサービスの向上に力を入れており、ANAHDも777-9型機の導入を機に、国際線における競争力を強化したいと考えているようです。芝田社長は、「他社の動向を見極めながら、必要な対応は怠らない」と述べ、競争激化への備えを強調しました。

最新技術と快適性の両立

777-9型機は、燃費効率の向上や騒音の低減など、最新技術を駆使した機体です。ANAHDは、この最新鋭機材と既存の高級客室を組み合わせることで、乗客に快適な空の旅を提供し、国際線市場でのシェア拡大を目指すとみられます。

まとめ

ボーイング777-9型機の納入遅延は、ANAHDにとって大きな痛手となる可能性がありますが、同社は既存の高級客室仕様を維持することで、国際線市場での競争優位性を確保しようとしています。最新鋭機材と快適な客室の組み合わせが、どのような成果を生み出すのか、今後の展開に注目が集まります。