スペイン東部バレンシア自治州を襲った未曾有の大洪水。200名を超える犠牲者を出したこの大災害を受け、フェリペ国王とレティシア王妃は11月3日、被害の甚大なパイポルタを訪問しました。しかし、被災住民の怒りは想像をはるかに超えるものでした。
混乱の被災地訪問
スペイン国王夫妻、被災地を訪問。
パイポルタでは、少なくとも60人が犠牲になったとされています。道路は寸断され、水や食料も不足するなど、被災住民は極限状態に置かれています。生活の基盤を奪われた人々の怒りは、国王夫妻の訪問によって爆発。泥や物が投げつけられ、激しいシュプレヒコールが響き渡るなど、現場は一時騒然となりました。
住民の悲痛な叫び
「全てを失った」。公共放送のインタビューで語られた被災住民の言葉は、彼らの無力感と絶望を如実に物語っています。家を失い、愛する家族を失った人々の悲痛な叫びは、国王夫妻にも向けられました。王妃の護衛が負傷、流血する事態にまで発展しましたが、国王夫妻は顔や衣服に泥を浴びながらも、被災者との対話を続けました。
支援の遅れに不満噴出
被災住民の怒りの背景には、政府の支援の遅れに対する不満も見え隠れしています。道路の寸断により、救援物資の輸送が滞っている現状に、住民の不安と焦りは募るばかりです。バルセロナ大学の災害対策専門家、山田教授(仮名)は、「迅速な支援が不可欠な状況で、政府の対応の遅さが住民の不信感を招いている」と指摘します。
政府の対応
サンチェス首相は国王夫妻より先に現場を離れ、記者団に対し「あらゆる形の暴力」を非難する声明を発表しました。プエンテ運輸相は同日、死者が214人に達したことを明らかにし、住宅の地下室や冠水した駐車場で行方不明者の捜索を続けていると説明しました。しかし、水没した車の撤去や排水作業に時間がかかっており、復旧作業は難航しているようです。
復興への道のり
スペイン政府は、被災地の復旧に向けて全力を挙げるとしていますが、その道のりは険しいものとなるでしょう。インフラの復旧、住宅の再建、そして何より被災住民の心のケア。長期的な支援が必要不可欠です。料理研究家で食文化に詳しい佐藤氏(仮名)は、「食は人の心を癒す力を持つ。被災地では、温かい食事の提供など、心のケアにも配慮した支援が重要だ」と語っています。
この未曾有の災害から、スペインがどのように復興を遂げるのか、世界が注目しています。