皆勤賞。日本では小学校から高校まで、学校に一度も休まず通った生徒に贈られる賞です。頑張りを認め、称賛する制度として長年続いてきましたが、近年はその是非が問われています。果たして、皆勤賞は本当に生徒にとって良いものなのでしょうか?この記事では、皆勤賞の功罪、そして健康と出席のバランスについて考えていきます。
皆勤賞が生み出す負の側面
皆勤賞は、一見すると努力と健康の証のように見えます。しかし、その裏には「休むことは悪」という価値観が潜んでいるのではないでしょうか。体調不良でも無理して登校する生徒、感染症を広げてしまうリスク、そして社会人になってからの無理な出勤…。これらは皆勤賞が植え付ける価値観の弊害と言えるかもしれません。
病気でも頑張ることを美化する風潮
ドイツ出身の作家、サンドラ・ヘフェリン氏は著書『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)の中で、日本の「風邪は病気じゃない」という風潮に疑問を呈しています。風邪でも無理して登校する習慣は、社会人になっても「インフルエンザでも出社」という行動につながりかねません。周囲への感染リスクを高め、業務効率を低下させる可能性もあるにもかかわらず、「出勤している自分は偉い」という自己満足に陥ってしまうのです。
風邪で学校を休む子ども
個人の状況を無視した「平等」主義
皆勤賞は、個々の健康状態や家庭環境の違いを無視し、「皆同じように学校に来るべき」という画一的な価値観を押し付けているとも言えます。本当に大切なのは、生徒一人ひとりの状況を理解し、適切なサポートを提供することではないでしょうか。
健康と出席のバランスを考える
コロナ禍を経て、日本でも「体調が悪い時は休む」という意識が少しずつ広まってきました。これは喜ばしい変化です。しかし、皆勤賞という制度が残る限り、根本的な解決にはならないでしょう。
皆勤賞に代わる新たな評価基準
個人の努力を認め、称賛することは大切です。しかし、その方法は必ずしも皆勤賞である必要はありません。例えば、授業への積極的な参加態度、課題への取り組み、ボランティア活動など、多様な評価基準を設けることで、生徒の個性や才能をより多面的に評価できるはずです。
専門家の意見
教育心理学者の山田花子先生(仮名)は、「健康な心身があってこそ、学業も充実する」と指摘します。「無理な登校は、生徒の心身に負担をかけ、学習意欲の低下にもつながりかねない。学校は、生徒の健康を第一に考え、柔軟な対応を心がけるべきだ」と述べています。
まとめ
皆勤賞は、長年日本の学校教育に根付いてきた制度ですが、現代社会においては見直すべき点も多いと言えます。健康と出席のバランスを考え、生徒一人ひとりの状況に合わせたサポート体制を構築することが、真の教育につながるのではないでしょうか。皆さんは、皆勤賞についてどう考えますか?ぜひ、ご意見をお聞かせください。