参政党、TBS「報道特集」に厳重抗議 参院選特集巡り「公平性・中立性を著しく欠く」と主張

参議院選挙(20日投開票)に候補者を擁立する参政党(神谷宗幣代表)は13日、TBS系報道番組「報道特集」(土曜午後5時半)の12日放送内容について、同局に抗議と訂正を求める申し入れを行ったことを公式サイトなどで明らかにした。

参院選報道を巡りTBSに抗議する参政党のニュースに関連するイメージ参院選報道を巡りTBSに抗議する参政党のニュースに関連するイメージ

参政党の抗議声明の概要

参政党は「TBSテレビ『報道特集』に対する申入れのお知らせ」と題した文面を公表。12日に放送された「報道特集」内の特集企画「外国人政策も争点に急浮上〜参院選総力取材」について、「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く内容が放送された」とし、「番組の構成・表現・登場人物の選定等が放送倫理に反する」として、TBSに対して厳重に抗議し、訂正等を求める申入書を提出したと報告した。

同党は、「マスメディアによる報道は、選挙において国民が政党及び候補者を選択するための大きな『要素』」であると指摘。こうした報道が意図的に偏向される事態は、日本の政治や民主主義の将来に深刻な影響を及ぼしかねないと危惧を示した。今回の事例は、「単に『参政党が不当な偏向報道を受けた』という問題にとどまらず、報道の中立性の確保と、報道機関担当者のモラルが問われる重要な案件」と捉えていると記している。

問題視されたTBS「報道特集」の内容

問題視された放送回では、参院選の争点の一つとして外国人政策が浮上していることを特集した。その中で、参政党が急速に支持を伸ばしている状況に触れつつ、神谷代表が街頭演説で「日本人ファースト」をキャッチコピーとして訴えている様子を映した。さらに、番組は参政党が「外国人が優遇されている」などと強硬に主張していると伝えた。一方、「日本人ファースト」という言葉について、専門家が「差別の扇動。差別用語を一切使わずに差別をあおる」と指摘し、「『日本人ファースト』が支持層に対して排外主義、ヘイトスピーチをあおる効果。これは当然、言っている側も分かってないわけがない」と解説するコメントも放送されていた。

申入書に詳述された具体的な抗議内容

公開された「申入書」の全文によると、参政党はTBSに対し、具体的に以下の点を挙げて抗議している。

まず、当該番組が参政党の外国人政策を正確に報道せず、誤導した上で「排外的」「差別的」と断じる論調で構成されていたと主張。番組に登場した関係者が全て参政党に批判的な立場であり、擁護・理解を示す視点が一切紹介されなかったことは、意見が対立する選挙戦における重要政策項目にもかかわらず、一方の極端な主張のみを取り上げた構成であり、選挙報道として著しく不公正であると指摘した。

次に、「差別の被害者」として紹介された金正則氏について、反差別運動に継続的に関与してきた政治活動家であり、特定の運動体との関係も指摘されている人物であるにもかかわらず、TBSがこうした事実を確認した上で氏を「中立的市民」として描写したのか疑問を呈した。もしそうであれば、視聴者に事実と異なる印象を与える構成であり、報道に求められる客観性と多角的視点を欠いていたとの疑念を抱かざるを得ないとし、特に選挙報道において、登場人物の背景に一切触れず特定の主張を補強する構成は、放送倫理に照らして重大な問題であると述べた。

さらに、参政党代表には「街頭で刺し殺す」「国会事務所を爆破する」といった複数の脅迫が寄せられている事実(赤坂警察署にも被害相談済)があり、街頭演説等で公表もされている状況下にもかかわらず、報道機関がこのような状況を知り得る立場にありながら一方的に当党を批判的に描写する報道姿勢は、暴力を助長しかねない極めて無責任なものであると断じた。特に、ちょうど三年前の安倍晋三元総理銃撃事件という未曽有の事件が起きたばかりであり、民主主義における政治的言論活動を暴力から守る意識が社会全体で共有されるべき時期に、脅迫を受けている当事者を一方的に批判的に描写する報道が行われたことは極めて遺憾であり、暴力助長の指摘は報道倫理に照らして重く受け止められるべきであると強く訴えた。

これらの点から、参政党は、今回の報道が「報道活動は市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づき、公正でなければならない」「取材・編集にあたっては、一方に偏るなど、視聴者に誤解を与えないように注意する」ことを定めた日本民間放送連盟放送基準第31条および第33条、また、「政治、経済、その他社会上の諸問題に対しては、公正な立場を守り、意見角度が対立している問題については、できるだけ多くのから論点を明らかにする。」「報道番組は、すべての干渉を排し、事実を客観的かつ正確、公平に取り扱う」ことを定めた貴社放送基準第6条および第8条に明確に違反していると結論付けた。

今後の行方と有権者への呼びかけ

参政党は、本件に関しては既にBPOに対し代表の意見を提出済みであり、TBSの対応次第では正式に放送人権委員会へ申立てを行う所存であることを明らかにした。

同党はTBSに対し、当該放送内容について、選挙期間内に可及的速やかに検証の上、訂正等の措置を本件通報時より24時間以内に講じること、および、可及的早期に再発防止策について説明されることを強く求めている。

文末で参政党は、「よりよい国づくりと健全な民主政治の実現のために、有権者の皆様におかれましては、ぜひ冷静かつ客観的に、各報道機関の姿勢をご判断いただければと存じます」と結んでいる。

参考文献

https://news.yahoo.co.jp/articles/44c33c81fdcffc6fc0d3fd1c3369322c11ceabbf