幼い頃、親が原因でつらい目に遭った経験があると、将来に悪影響を及ぼすことがわかった。このような幼少期の経験を「逆境体験」と言い、最近では英語の「Adverse Childhood Experience」の略語から「ACE」と呼ぶそうだ。2021年に京都大学で行われた男女2万人の調査によると、18歳までに「親から殴られた」「親が別居や離婚をした」など、10項目の質問をしたところ、約4割の人が1つ以上のACEを経験していることが判明。ACEが4つ以上該当する人は、成長するにつれて「重度のうつ」「中卒」「失業」「未婚」「離婚」などに至る傾向にあった。この結果を見ると、子どもの頃のトラウマが原因で心身に不調を抱えたり、人間関係において孤立してしまったりすると言える。そんな中、親ガチャにハズレたことが原因で、大人になった今でも生きづらさを感じる人もいるようだ。
【写真】風呂にも入れず、部屋はゴミ屋敷に…35歳男性が結婚しようとして見た地獄
付き合って5年になる彼女(成実さん・仮名・27歳)がいる達也さん(仮名・35歳)。彼女が新入社員の時、達也さんが新人研修を担当したことで二人は知り合う。しかし、達也さんに「結婚願望」はない。
それは小学一年生の誕生日に父の浮気が発覚し、その後両親が離婚したことが影響している。その際、母に「あなたのせいで今まで離婚できなかった」と言われショックを隠し切れず。その後、母のネグレクトが始まり、いたたまれなくなった達也さんは高校進学を機に家を出ることに。それから母とは疎遠になっている。これまでお付き合いした女性はいたものの、結婚願望がないせいでフラれてばかりいた。今の彼女から結婚を迫られるも、話をはぐらかしていた。
記事前編は【小1で「父親の不倫現場」を目撃…35歳男性が「結婚願望がない」と語る「深刻な理由」】から。
親友の結婚がきっかけで起きた変化
「最近になって、同じ歳の親友が結婚しました。彼の結婚式に出席したり、新居に招待してもらったりして、初めて幸せな家庭を目の当たり にしたのです。それがきっかけで『自分も幸せになりたい』という気持ちが徐々に芽生えてきて……。彼女に『君との結婚を考えるようになった』『一年以内に実現したいと思っている』とその決意を伝えました」
幸せに向けて一歩踏み出した達也さん。しかし、彼女との結婚を視野に入れた途端、大きな不安に襲われるようになったという。なぜなら、過去に父の浮気が原因で両親が離婚したつらい記憶が頭から離れなかったからだ。